第100話 おじさんの奥さん、お偉方に詰められる。
探索庁につくと、
「すでに皆様お集まりです。会議室にご案内します」
俺は双子用抱っこ紐で、イチノとフタホを抱っこして、
全面ガラス張りのエレベーターが静かに上昇していくなか、
「あの、緊急ニュースってまだ流れていないようなんですけど」
「現在協議中です。特別警戒ダンジョンに指定されるのは実に10年ぶり。ダンジョンのリスクを完全にコントロールしているという我が国の主張を、一時的であれ覆すのですから。相応の段階を踏む必要があります」
「と、言うと?」
「現在、シェールストーンエネルギー推進大臣の
「なるほど……」
事態は思ったよりも深刻のようだ。そんな大事な会議に、俺とササメが参加してどうにかなるのか? しかも随分と遅れての重役出勤ときたもんだ。
「こちらです」
俺とササメは、『令和X年
「おお、
席に座ると、開口一番、俺よりも10~20歳ほど年上の
「この女か!
な!? 突然の出来事に俺とササメは何も言えずに驚いていると、今度は、同じく10~20歳くらい年上の、ガリガリに痩せこけた白髪まじりのメガネのおじさんが、泡を飛ばしながらまくしたてる。
「ケルベロスが子供を産んだあと、なぜすぐに親元から離さなかった! これは我が国のシェールストーンエネルギー産業の重大なる損失だぞ」
「ほぎゃ?」
「ふぎゃ?」
「ぷぎゃ?」
俺たちが入ってくるなり突然の怒号をとばされた、イチノとフタホと
「ぽぎゃーーーー!!」
「ふぎゃーーーー!!」
「おぎゃーーーー!!」
3人は
「うるさい!!」
「なんなんだ突然?」
「早く、この赤子どもを泣き止ませろ!!
「こんな大事な会議に赤子をつれてくるとは!!」
「まったくとんだ非常識女だ!!」
おじさんたちは、ササメに向かって暴言を吐きまくる。
産後間もないササメをこんな朝早くに呼び出しておいて、なんだその言いぐさは!!
俺が反論しようとしたときだった。
「赤子は泣くのが仕事でしょう。つまり、赤子は仕事をしているということです」
「仕事をしている赤子に、自分の仕事を自覚すらしていないボンクラが避難するのはいただけませんね」
「な!?」
「つ、
おじさんふたりの口撃を意に介さず、
「いまは国益を語っている場合ではない!
ましては未来をになう赤子とその育児という激務をつとめる夫妻を罵っている場合ではない!!
いち早く災害級ダンジョンと化した
……と言いたいのですよね、
「ズバリそうでしょう!!」
「ぽぎゃーーーー!!」
「ふぎゃーーーー!!」
「おぎゃーーーー!!」
「
「は? あ、ああ」
言われるがまま、俺は双子用の抱っこ紐を外して、
「ぽぎゃぎゃぎゃーーーーーーーー!!!!」
「ふぎゃぎゃぎゃーーーーーーーー!!!!」
イケメンとは言え知らないおじさんに抱っこされたイチノとフタホが、さらに泣き声のボリュームをあげるなか、
「じゃ、
え? どういうこと??
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