第80話 幕間劇 局長と第一秘書の日常
「あ、ここまでで結構です」
三つ揃えのスーツで髪の毛を整髪料でテカテカにした男は、くたびれた服装の中年男性の言葉に軽く会釈をすると、カチャリとドアを締め、振り向きざまに質問をした。
「あの人が、最強の探索者、
その声は、いささか拍子抜けといった感じだ。
「まあ、本当の実力者というものは、ああいった感じだよ」
メガネを掛けた男が、にこやかな笑みをたずさえ返答をする。
探索庁の局長、
「一見、気弱そうな男だが、その強さは本物なのだろう」
だが、髪の毛を整髪料でテカテカにした男……
「失礼ですが、あの
「だろうな。あの
ただ、カンコくんは、
そう言うと、
「とにかくだ。どのみちカーバンクルランドは、
僕たちはその結果報告を待っていればいい……ん?」
ブルルルル……ブルルルル……。
『もしもし? 局長ですか? カーバンクルランド買収計画なんですが?』
「ああ、
『そ、それが、社長の
『……と、いうわけで、今後弊社がカーバンクルランド支援の方針で動きそうになく……局長が、数々のサポートをしてくださったのに……誠に申し訳ありません』
「まあ、しょうがないよ。今までよく頑張ってくれましたね、
『うひゃひゃ! はい、ありがとうございます!!』
「ははは、
ピ……ツーツーツ。
「これからちょっとでかけるよ。ああ、今までがんばってくれた
「かしこまりました」
・
・
・
翌朝、都心のマンションで殺人事件があった。被害者は、刃物と思われる鋭利な凶器で首を両断されていた。
被害者の名前は
新進気鋭の金融企業、DEWファイナンスに務めるエリートだった。
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