第79話 おじさん、弟子にめっちゃ詰められる。
つもる話もあるが、なにせ相手は探索庁のトップだ。俺はそうそうに話を切り上げて、局長室の出口へと向かう。
「それじゃあ、
「アテにはしないでくれよ? あ、ここまでで結構です」
絶妙なタイミングでドアをあける秘書の
俺はガラス張りのエレベーターに乗ると、
『カンコくんが運営するカーバンクルランドなんだがな、いち施設で『八卦の幻獣』のうち、4体をも独占していることが、少々問題になっているのさ。師匠たるお前から口利きをしてもらえるかい?』
はあ、気が重い。あの様子だと、
『八卦の幻獣』は、ダンジョンの
理由はそれぞれ。
大半の幻獣は、危険すぎるため『八卦の幻獣』として認定されているが、なかには人類にとって有益な種のため、登録されている幻獣もいる。
人に良くなつき、幻獣初の人工繁殖に成功した繁栄の象徴、カーバンクルもそのうちの1匹だ。
たしか、
考えてもしかたがない。それになりより、厄介ごとはいち早く片付けておきたい。
俺は、探索庁をでるなり、
トルルル……トルルル……トルルル……ガチャ
『しもしもー? えー、お師匠じゃない! ちょっと待って何年ぶり? あたしゃうれしいよ!!』
「俺が探索者を辞める前だから、10年ぶりかな?」
『マジッすか? あ! ご結婚おめでとうございます⤴!!』
相変わらずの年代を感じさせるギャルっぷり……が、どこか違和感がある。
声のキーが一段高くなった気がする。
「
『それが、ちょっくら野暮用で
「そ、そうか……」
15年ダンジョンの最下層にいたササメが10歳以上若返ったんだ。マナを吸収しやすい特異体質の
「ところで、話がかわるんだが、今日、
「はぁ?
やっぱりだ、昔からよく衝突していたが、この10年でさらに険悪になったらしい。
「そ、その、
「はあ!?
だめだ……取り付く島もない。予想どうり、いや予想以上の拒絶反応に、俺はそうそうに
が、1点、どうしても気になることがある。俺は、話題をかえる。
「わかったわかった。
『はい! ケルベロスが増えました』
「ケルベロス!? まさか……」
『そのまさかですよ! お師匠とササメさんが監視していたケルベロスの子供です』
「そうか!! 2匹とも無事だったのか! いきててよかった、よーかったー」
『いえ、あたしゃが……正確にはあたしゃの元で働いている職員が飼育しているのは、2匹のうちの1匹だけです。もう1匹は、未だに行方知れずでねぇ』
「そうなのか……無事でいてくれるといいが」
「はい……で、まあそーゆーワケですので、あたしゃが預かっているケルベロスは絶対に、
ガチャン! ツーツーツー。
一方的に切られてしまった……想像どうりだ。
まあ、一応説得はこころみた。
俺は、かるくため息をつくと、永田町の駅へと歩いていった。
ん? そういえば、ケルベロスが2匹いないとなると、カーバンクルランドにいるのこり1匹の幻獣ってなんなんだ??
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