第49話 おじさん、美少女の発言に頭をかかえる。
ロカが、
俺とロカは、電車に乗って、
今日はダンジョンに潜らないから、ロカは私服だ。
オーバーサイズのオフホワイトのトレーナーに、黒のショートパンツとニーソックスを合わせている。靴はパルクール対決にそなえてかかとにエアーの入ったスニーカーを履いている。
ロカに教えを請われた技は、ものの2日間で習得し、残りの2日間で完全にマスターした。今では俺よりも手早くこなせるくらいだ。
やはりロカはセンスがいい。
これでもう本当に、俺がロカに教える技は無くなってしまったな。
初めてあったとき、カメレオン型に吊るされていたことが随分と昔に思えてくる。
まあ、ちょっとばかり、成長を急ぎすぎるきらいがあるが……。
ロカは両手をギュッとにぎると、誰に話すともなくつぶやいた。
「よし、この技を使って、アタシはおじさんの奥さんに会いに行くんだ!」
俺は、すぐさま訂正を入れる。
「奥さんって言い方はやめてくれと言ったろう。ササメとはもう、15年近く前に別れたんだ」
「それは、おじさんが一方的に言っているだけでしょ? ヒサメさんの口ぶりだと、おじさんがちょっと頭を下げれば、きっとヨリを戻せると思うんだ」
「おいおい、カンベンしてくれよ!」
俺は頭を抱える。俺はササメを捨てた男だ。いまさら合わせる顔なんてない。
ヨリを戻そうだなんてもってのほかだ。
そんな都合の良いことできるはずがない。そんな資格なんてあるはずがない。
「おじさん! おじさん! なにボケーとしているの? 着いたよ、降りなきゃ! 降りなきゃ!」
ロカは、無邪気に俺の手をひっぱってホームへとを降りる。
そしてそのまま、重い足取りの俺をぐいぐいとひっぱって駅改札を出ると、駅直結の
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