第37話 美少女、サイクロプス型とサシでわたりあう。
「クソッ! このダンジョンはどうしちまったんだ?」
体長3メートル未満のモンスターしか現れないはずの第8層にいきなり現れた、身長10メートルをゆうに超える2体のサイクロプス型に、おじさんは苦々しい声をあげながら上を見上げた。
あたしも一緒に上を見上げる。サイクロプス型の身体は密林にさえぎられて、胸元までしか見えてない。
「どうしよう、おじさん! これじゃあ、どこに攻撃が来るのかわかんないよ!」
「おちつけロカ! サイクロプス型の身体は人間とほとんど同じ。少し観察すれば、どこに攻撃が来るかわかるはずだ」
アタシはおじさんの言う通り、サイクロプス型の身体を観察する。
一匹は、右足を前に、もう一匹は、左足を前にして踏ん張っている。
「なるほど、こっちは左利きで、あっちは右利きだね!」
「そうゆうことだ。しかもここは密林。この地形は明らかに俺たちの味方だ。ヤツらは木が邪魔になるから棍棒を横凪には払えない! 振り下ろしの攻撃だけに集中すれば、簡単にさけられる!」
「わかった!!」
2匹のサイクロプス型の脇腹がしなる。なるほど、筋肉の動きに注意すれば、どこに攻撃が来るか想像できる。
ワサワサと揺れる木が、アタシの予測を確信にかえる。
「よっと!!」
アタシはかなり余裕を持って2本の棍棒を避けた。振り下ろしの攻撃は線の攻撃。つまりは、サイクロプス型の身体から軸を逸らせば簡単に避けられる。
おじさんの言う通りだ。明らかに地形がアタシたちに味方してくれている!
「ロカ、1匹お前にまかせてもいいか?」
「うん! まかせて!! おじさん!!」
アタシは力強く返事をすると、腰に下げた伸縮式サーベルを取り外してシャキンと伸ばした。
アレを実践で試すチャンスだ。
ブルブル。身体が震える。
怖いからじゃない。適度の緊張で身体が震える武者震いってヤツだ。
あたしは「ふう」と息を吐くと、サイクロプス型の動きに集中する。
次の攻撃が来た時に、一気に勝負を決めるんだ!
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