第22話 美少女、サイクロプス型を仕留める?

*今回はロカ視点のお話です。


「だったら、攻撃を頼む! 俺はこのままこの棍棒を掴んでおく! ヤツの弱点はわかるか?」

「モチロン!」


 アタシは、おじさんが掴んでくれている棍棒の上にヒラリと乗ると、腕伝いにサイクロプス型のひとつめ目がけて走っていく。


 サイクロプス型の弱点は、その大きなひとつ目だ。

 アタシは知ってるんだ。カノエさんがサイクロプス型と戦う動画は、もう100回以上繰り返し観ている。


 大丈夫だ。問題ない。カノエさんの動画の通りにやれば、アタシにだってサイクロプス型を倒せるはずだ!


 カノエさんの動画では、サイクロプス型のひとつ目に、電撃を帯びたレイピアで滅多刺しにして倒してた。

 カノエさんの鋭い突きを受けたサイクロプス型は、あっけなく霧になって大量のシェールストーンに変化したんだ。


 できる! アタシにだってできる。アタシは緑色の『マナ』の扱いが得意なんだ!


 アタシは、サイクロプス型の型まで登り切ると、ショートソードのカードリッジに緑色の『シェールストーン』をセットして意識を集中させる。

 するとショートソードは、バチバチと音を立てて、緑色のイカズチをまとった。


 アタシは軽く深呼吸をすると、自動追尾モードにしているカメラに目線をおくる。


「今から、サイクロプス型を撃破しちゃいます!

 応援、よろしくお願いします!」


 アタシは視聴者にむかって可愛くウインクしたあと、アタシの身体くらいの大きさのサイクロプス型のひとつ目に向き直る。


 大丈夫だ。こんなおっきな標的を外すわけがない!


「いっくよー! サンダーブレード!」

 

 アタシはショートソードを思い切り振り下ろした。


「ぐおおおおぉ!」


 サイクロプス型が苦しんでいる。やった! 効いてる。

 このまま攻撃の手を緩めずにさらにダメ押し!!


「エイ! ヤア! そりゃあ!!」


 アタシはショートソードを左右に振って、サイクロプス型のひとつ目をめった切りにする。


「ぐおおおおお……」


 アタシの連続攻撃に、サイクロプス型はズシンと地響きを鳴らしながら片膝をついた。

 でも、なんだか様子がおかしい。カノエさんはサイクロプス型にレイピアで突きを8回喰らわせたところで霧になっていた。


 アタシはもう10回以上も攻撃している。なのに、サイクロプス型は霧に変化しない。


 おかしい。どうして倒せないの? なにがちがうの??

 アタシとカノエさんとでは、いったいなにが違うっていうの???


 アタシが焦り始めた時だった。


「しまった!!」


 サイクロプス型の大きな手が、肩に乗ってるアタシを払い除けた。

 10メートルをゆうに超えるサイクロプス型にとって、アタシの体なんてたかったハエみたいなものだ。

 アタシの身体は、あっけなく空中に放り投げだされた。


 え? これヤバくない。

 このまま落っこちたら、ただのケガじゃあ済まないんじゃあ……。


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