第4話 おじさん、美少女を助ける。

「ふう、こんなものか……」


 俺は全長2メートルほどの恐竜型のモンスターを3匹倒して、一息をつく。

 手に入れた『シェールストーン』は全部で10個。これを換金すれば、1週間はゆうに生活できる。


 ダンジョン探索者の収入は、『モンスター狩り』を楽しむ一般客と同じ、『シェールストーン』の換金だ。

 危険度は段違いだが、一般客とは違ってモンスターの奪い合いが起こることはない。そういった意味で、ギャンブル性の高い一般客の『モンスター狩り』とは違い、労力が確実に収入につながる。

 もっとも、力量を間違えると命取りになるのだけれど。


「キャーーーー!」


 なんだ? 未整備のダンジョンには似つかわしくない女性の声。しかも声の雰囲気からして、二十代、いや、十代中頃の若い女性の声だ。

 俺は、声のする方を振り返る。すると、


「いやーーーー!」


 パールホワイトの髪をサイドテールにした女の子が、崖の上にいるカメレオン型のモンスターに足をとられて宙吊りになっている。

 丈の短いスカートからは、髪色と同じ、パールホワイトの可愛らしいショーツが丸見えのモロ見えだ。


「オイオイ、マジかよ!!」


 俺は慌てて『シェールストーン』を左手でパキリと砕き、剥き出しになった『マナ』に精神を集中させる。


「ファイアボール!」


 俺が呪文を唱えると、マナは炎の塊となってカメレオン型のモンスターめがけて高速で飛来していく。


「ボギャアア!」


 ファイアボールが直撃したカメレオン型モンスターは唸り声をあげると、少女にまきつけた舌を離した。


「え? きゃああああ!!」


 俺は落下する少女の下まで駆け寄ると、お姫様抱っこでキャッチした。


「大丈夫か! 怪我はないか!?」


 少女に声をかけると、その返答は予想外のものだった。


「ちょっとぉ! 撮影の邪魔しないでくれる!!」


 ……え? どういうこと??

 

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