第3話 おじさん、ダンジョンに入る。

 俺はうしとらのダンジョンの入り口についた。

 ダンジョンの前には、自前のモンスター討伐用の武器を持った『モンスター狩り』目的の一般客の行列ができていた。


 一般客用のダンジョンがオープンするのは午前中10時。

 ダンジョン内のモンスターを狩るのは早い者勝ちだ。

 だから一般客は、モンスターが出現しやすいポイントをゲットするために、朝から行列をする。


 俺は、その一般客の行列をつっきって探索者用入り口へと向かっていく。すると、俺を見たお客さんがヒソヒソと話している声が聞こえてきた。


「なんだ? あのおじさん、探索者用の入り口にむかっていくぞ?」

「ひょっとして、ダンジョン探索者か?」

「まさか! 武器も持たずに手ぶらだぞ!」

「無課金おじさん?」

「あんなヤツが探索者なわけねーだろ」

「ダンジョン配信者の撮影スタッフじゃねw」

「だよなw」


 俺は、一般客のヒソヒソ話に聞き耳をたてる。

 ダンジョン配信者って本当にいるんだ……てっきり逆村さかむらさんの冗談だと思っていた。


 とはいえ、どっちにしろ俺には関係のない話だ。


 ダンジョン探索者として働くのは10年ぶり。

 今日のところは、リハビリもかねてモンスターを2、3匹倒したら『シェールストーン』を換金して帰ることにしよう。


 俺は、受付にライセンスを見せると、魔法陣に入り、第7層へと潜っていった。

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