終焉

西南戦争も終わりを迎えようとしていた。いくら戦の神様と言われた西郷でも、最新の武器を使って戦ってくる新政府に対し、勝ち目はなかった。

「西郷さん、降伏すれば、命を助けると政府は言っています」そう仲間が告げてきた。だが、西郷は首を横に振った。

「これだけ、仲間が死んで、わしだけ生き残るなんてできん。もうここらへんでよか」西郷はそう言って桜島のほうを向いた。そして、自害した。

「大久保さん、電報です!!!西郷さんが、西郷さんが,,,」大久のもとにも知らせが届いた。

「わかった。いっていい」大久保はそっけなく返した。だが、人が出ていき戸が閉まった瞬間、大久保は嗚咽した。

「吉之助さあ。なんでじゃ。なんで降伏せんかった。吉之助さあ,,,」大久保は一晩中泣きはらした。そんな大久保に声をかけられるものは誰もいなかった。

”木戸さんが亡くなって、西郷さんまで自決した。いくら冷淡な大久保さんでもさすがに辛いに違いない。しばらくは仕事に来ないだろう”大久保の周りのものは皆そう思っていた。だが、大久保は翌日、何事もなかったように仕事をしていた。

「大久保さん。仕事してるんですか?」部下が驚いて聞いた。

「見ればわかるだろう。やらねばならんことが山積みだからな」そう、大久保はいつものように言った。”吉之助さあと木戸が死んで今の政府にはわししかおらん。わしが、日本を変えるしかない”それが大久保の結論だった。だが、そんな大久保の思いなど汲み取ってくれる人はもう誰もいない。

「大久保は幼馴染だった西郷まで死に追いつめて、一人で権力を握ろうとしている」そんな噂が流れた。そして

「大久保卿、覚悟!!!!」1878年、仕事に行く途中、紀尾井坂で不満を持っている武士たちに大久保は殺された。西郷と木戸が死んだ次の年のことだった。

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