始まりの町〜狼国狼吠街〜編

2話 母からの呼び出し

こうなったのは遡ること夏休み

「未来ー。」

急に私はお母さんに話があるからと言って物置の前に呼び出された。

「ホントに何?なんかファンタジーに出てきそうな服着せてさー。」

「未来、落ち着いて聞いてね。」

いや聞くけども

「ここ、物置じゃないの。異世界に繋がっているの。」

「....はい?」

思考が止まった。

「異世界よ、異世界。漫画やライトノベルに出てくるようなあの異世界。」

声は聞こえてるのに頭の理解が追いつかない。

「獣人とかエルフが出てくるあの異世界?」

「そうよ。」

いやいや、おかしいでしょ!なんで家から異世界行けるの?!

「これは行けるからとしか言えないわね。」

異世界何故行けるか問題は考えないでいよう。

「で、どうしろと?」

「やっぱり未来は飲み込み早いわね。おかあさんがお母さんおばあちゃんに言われたときめっちゃ混乱したのに。結論から言うわね。未来、異世界に行く気はない?」

「この服着せといて『行かない?』じゃないよ。行けってことだと思ってたのに。」

「やっぱり我が娘ながら本当に決断が早い。お父さん譲りかしら?」

かもね。

「まあ、迷惑かけないようにするよ。」

「他の人に迷惑かけてる自覚はあったのね。」

ひどい。するとお母さんから

「はい」

とリュックを渡された。

「これはおかあさんが使ってたカバンよ。今まで破れなかったし物がたくさん入る実績付きだからね」

「ありがとう、お母さん。」

ところで簡単に行けてしまうのなら危なくない?

「大丈夫よ。資格があるものしかその戸は開かないから。お父さんで実証済。」

お父さんなかったのね。

「まあ、行ってきます。」

「いってらっしゃい。そっちで泊まってきてもいいからね。夏休みが終わる前には帰ってくるのよ。」

「分かったー!」

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