雨粒が肩を濡らし沁みていくような冷たさと対照的な体温の温もりが、同居しているオムニバス。
1話完結型、色んな形の大人の恋を綴った短編集。抒情的で美しい文体によって語り出されるその恋模様は、正しくも道徳的でも、常識的でも無いかもしれない。でも、正しさや道徳や常識に背を向けてでも、浸りたい愛というものがある。決して道徳的ではないけれど、本作でしか味わえない非日常の愛がここにはある。普通の恋に飽きたあなたへの、背徳的で耽美な一作。
ふと読みにきたらなかなかのストリーで感動してしまいました、序盤からのこの展開、彼の彼女に対する思いの心境がたまらなく切ないですね、彼の心理描写がすごすぎてやばかったです
恋愛ってさ、いつもそんなにうまくいくわけじゃないよねっていうことを、大人は知っています。相手のこころが、或いはすべてが欲しくて、恋ふ(こう)。そんな恋情が描かれていて、余韻に浸ってしまうような短編集です。
やはり愛しいと想う気持ちだけが、残されるのかもしれない。