フジヤマ噴火0秒前!!

漢字かけぬ

第1話 破壊と再生


 惑星には意志がある。いやそうでなければ定期的に災害なんて起きないはずだ。

 もし標高3333メートルの巨大な山フジヤマが噴火すれば

 首都は壊滅なんてシュミレーション結果も出ている。

 これは机上の空論、だがエックスデーは近づいている。



 無論ニンジャ国政府も黙ってはいない。

 観測結果をもとに各国の技術者を集め対策をした。

 予算は勿論税金だ。期限付きとは言え消費税100パーセントで議会を通った。

 首都圏は命に関わることなので賛成多数。

 爆発範囲外に引っ越すという意見もあったが、

 引っ越し費用を考えると税金上げたほうが安いからな。



 ー フジヤマ対策会議室 ー


 「という訳で対策してくれると嬉しーなー」

 「ノリ軽!!!」


 今日もヤニハラクソ上司が葉巻を加えながら無茶ぶりを提案する。

 もう金持ちは海外に脱出してるし、来年は国の収支赤字確定なんだよ!!

 かといって冷凍弾を海外から買うと予算かかるし。


 「ああそうそう、国民感情を考慮して核兵器の類いは禁止でシクヨロ」

 「何ですかシクヨロって。芸能人ぐらいしか使ってませんよ」

 「ゑ?反抗する気?代わりの人員ならいくらでもいるぞよ?」

 「優秀な人員はみんな逃亡しましたよ!残ってるの私と課長だけ!!!」


 そもそも政治家逃げた後だし。

 第33次下請けの民間災害対策企業に何ができるって言うんだよ!!


 「予算と人員は無限に使っていいってさ。

 何でもありなら由衣我ゆいが君得意でしょ?」

 「・・・・・本当に何でもありですか?」ニィ

 「総理大臣から自衛隊まで印鑑はそろってるから」


 課長が引き出しを開けると本当に各種印鑑が出て来た。

 書類偽装の類いで捕まれ、クソ上司!



 ー 作戦決行当日  チィバ県 空港 昼12時 ー


 空港の一角を貸し切り本作戦に臨む兵士や武器たちが一同に並ぶ。

 一回やってみたかったんだよね。電飾付けたパレード。

 現場の士気を高めるためご当地キャラにも協力いただいた。

 世界一有名なネズミはいない、これが私達最後の良心。




 「私が作戦指揮を執る 由衣我ゆいがだ。

 爆発予測まで20時間を切った、改めて問おう。

 家族や恋人がいるものは去るがいい。たかが仕事で他人を泣かせるんじゃない」

 「・・・・我々はここで名を売って有名人となり!ちやほやされたい!

 端的に言えば異性からモテるため頑張ります!!!」

 「よく言った!英雄になりたいかー!!!」

 「おおおおおおおおお」

 「結婚したいか!!!」

 「おおおおおおおおお」

 「金持ちになりたいか!!」

 「おおおおおおおおお!!」



 なんかクイズ番組のようなノリだな。

 野次馬の目くらましにはちょうどいいか。


 「住人の避難完了しました!!」敬礼

 「よくやった軍曹!!景気づけにアレやるか!!!

 クラシックを!ワグナーを流せ!!!」

 「おおおおおおおおお!!!!」


 私たちを乗せた巨大なヘリコプターが一斉に飛翔する。

 空をも覆いつくすくろがねの騎兵たちは首都を目指した。



 ー ニンジャ国首都 昼12時30分 ー


 結論から言えば首都は半壊していた。

 いや我々が爆薬で地盤を破壊させた。

 これから始まるショーの為に。




 ー フジヤマ上空 昼15時 ー


 配置は完了。燃料も全力で脱出できるよう給油も済ませた。


 「よし!これより由衣我ゆいがの名のもとに降下作戦を開始する!!!

 まず初めは333メートルの”フジヤマタワーだ!!!」

 「うおおおおおおおおおおおおお」


 ヘリコプター数10台に懸架けんかされた

 巨大な電波塔がフジヤマの火口に落ちてゆく。

 

 「次!フジヤマ議事堂!」


 合図とともに議会の場が投下される。

 居眠り議員が残っていると報告を受けたが聞かなかったことにする。


 「次!フジヤマヒルズ!!」


 金持ちが集う建物も今回の廃棄対象。

 新造するという条件の元快く協力してくれた。


 他にも色々と投げ込み最後に首都ドームでフタをして終了。


 「ヨシ!!!全機撤退!!目標は空港だ!!」

 「おおおおおおおおお」


 ワグナーを流し最寄りの空港へ退避。向かう先は・・・・。







 ー エピローグ ー


 当然無茶苦茶やった私と上司には逮捕状が出された。

 そのことを見越して私を含め参加部隊全員海外に亡命している。



 さて私たちは資金を集めてニンジャ国の建設業株を買いあさった。

 どの企業が跳ねるかは分からないが復興のために公共事業をやるのは確実。

 ここまで派手にやったから手持ち資金は3倍に跳ね上がった。

 残されたニンジャ国の住人は消費税333パーセントになっていたが

 暴動1つおきやしない。


 第33次下請けの私が成りあがった物語。

 今回の責任を取らされた逮捕された上司については・・・・。

 フジヤマのようにフタをするとしよう。



 え?フジヤマが噴火しても首都には被害が少ないって?

 当然知ってたさ。これは建設業者とかかわりの深い政治家と私たちの計画。

 おおっと、臭い物にはフタをしなければ。墓場まで持ってくものだからな。

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