第24話
御戸部さんに話してから、そろそろ一ヶ月になるか?ってところで、知らない電話番号から電話が掛かってきた。
俺の電話に知らない番号から電話が掛かってくるなんて、いつもなら「間違い電話?」って、ぐらいだろう。
取り敢えず出るだけ出てみるか?って感じで、通話バーをスライドさせる。
「御戸部と一緒に御邪魔した山元です」
繋がると同時に聞こえた言葉に「ああー」と納得。
御戸部さんとは番号を交換したが、彼とはしていなかった。
そりゃあ知らない番号な訳だ!
「えーっと、御戸部さんから話を聞かれたってことでしょうか?」
「そうなります。で、ですね。こちらの方はまだまだ時間が必要なんで、その間にそっちでまた話がしたいってことでして、都合はどうです?」
「今日これからって話で無いなら、都合はつけれると思いますけど?」
「了解です。では、こっちで時間の調整してから、また連絡します」
「はい、分かりました」
・・・あの人って、こんな感じだったか?
何か、妙に軽いって言うか、人懐っこいって言うか・・・
まあ何にしても、連絡がきたってことは、あっちは動いてるってことだからな。
どうなるかは未定ってのは変わらない訳だし、待つしか無いんだよな。
当面の生活費は、ネットに投稿してる動画の収益で何とかってところだし、まあ生活ってことだけ考えると無理をする必要は無いのは助かってる。
三日前に師匠の方の魔道具の仕様も決定済みだし、動作試験も問題無かった。
何種類かの魔石で試験したけど、二足歩行最弱のゴブリンの魔石でも安定していたし、たぶん魔素の含有量から計算して、二ヶ月くらいは稼動するはず。
試験した一番上の魔石はオークキングで、これだとたぶん十五年ぐらい稼動するんじゃないかな?
ただ、消費する電力量に左右はされるだろうけど・・・
今は塔の中に持ち込んだ家電製品を稼動させて、実際の消費具合を確認してるところ。
まあ家電と言っても所詮は工場にあった物だけなので、テレビとパソコン、あとは冷蔵庫ぐらいしかないんだけど。
他の物はあっても使わないんだよね、魔法の方が簡単で便利だし。
ただ一般的に考えると、魔法の使えない一般人には、この魔道具は革命的に便利だと思う。
単純計算で家一件、家族四人として考えた時に、必要な魔道具の大きさは電子レンジ一台分ぐらいサイズ。
そこにオークの魔石を一個入れとくと概算で二年から三年は魔石交換がいらないんだ。
電気自動車は消費する電気の量が分からないから正確なことは言えないけど、それでも一ヶ月ぐらいは大丈夫じゃないかな?
そんな結果を見て思ったのは、やっぱりヤバイ!ってこと。
絶対的なエネルギー革命になるから、世界中から狙われること間違い無し!
世界中の産油国、石油メジャー、エネルギー関連企業、その他ありとあらゆる石油やエネルギーに関係するところは目くじら立てて、塔を、日本を、俺達を狙うだろうな。
マジで危険だぞ、これから・・・
って、悩んでも仕方無いんだけど。
結局のところ、魔法が使える俺達には通常の武器や兵器は効果が無い。
俺も師匠も三人娘も、俺特製の自動防御結界の魔道具を持ってるし、唯一ヤバそうな核兵器にも目処は立ったからな。
毒とか睡眠薬とか麻痺薬なんかも、もう一つの魔道具でカバーできてるし、自動治癒も可能。
当面、どうにかできる人や組織は無いだろう。
ちなみにレティーの名前が無いのは、日頃は人の姿をしてるけど、彼女はれっきとしたドラゴンだから大抵の攻撃は聞かないし、毒なども関係無いからだ。
最悪、レティーなら転移で逃げることもできるし、だいたい最大速度マッハ3とかで飛べるんだから問題無いでしょ。
当面の問題は、そっちより日本国内だろうしね。
まずは師匠達を日本の国民として認めてくれるか?ってのと、それに対してどれくらい干渉してくるか?ってことだろう。
魔道具自体の作りは簡単に作れるように設計してあるから、そこは日本やその他の国に御任せ。
そこに入れる魔石を俺達が抑えているから、日本が他国に強く出れるようになる。
ただ、余りやり過ぎると戦争になるから、その辺の力加減を間違えないでくれれば良いんだけど。
ただね、御戸部さんにも言ったけど魔石の回収は他の人でやって欲しい訳。
だって、それをこっちでやることになると、それだけに追われる日々が始まっちゃう。
俺は悠々自適に魔法の修行をしながら、生活したいだけなんだよね。
だから、そんなブラックな生活はしたくない。
その辺の調整は、はっきり言って超が付くくらい難しいだろうと思う。
俺は絶対にそんな調整したくない!
まあだから丸投げしたんだけど・・・
そんな訳で、今は急ぎでやることが無い暇人な訳で・・・女性陣のリクエストで昼食の準備中だったりする。
何をリクエストされたか?って、それは子供の大好きなアレ!カレーライス!
一度出したら、定期的にリクエストされるようになった。
まあ、ごく普通の流れだな。
特に日本のカレールーは世界でも上位の美味さだし、当然だろう。
今日のカレーは、師匠が魔道具を完成させた御祝いみたいなものなので、ちょっと特別だったりする。
一昨日からワインで大きな肉の塊りを煮込んだ、牛肉のワイン煮込みをベースにカレーに仕立て上げている途中なんだ。
肉を取り出して、ワインと一緒に煮込んでいたニンジンや玉ネギを磨り潰して濾していく。
これが良いコクをプラスしてくれるんだ。
別でカットしておいた野菜を牛脂で炒めて、コンソメスープで煮込んで、缶のトマトを潰して入れて、火が通った頃合でワインを追加する。
灰汁を取ったら、そこにワイン煮込みのスープを全部投入、ここでカレールーの登場!
おれの好みは甘口のルー2に対して中辛3ぐらい。
メーカーによって辛さが違うから、そこら辺は完全に個人の好みだろうな。
ルーが完全に溶けたら、取り出していたワイン煮込みの肉を戻して温める。
最後に季節の果物を摩り下ろした物とインスタントコーヒーに生クリームを混ぜた物を加えて、掻き混ぜたらカレーは完成だ。
ライスは、カレーが結構濃厚に仕上がってるはずなので何もしない。
好みでバターライスにしても良いかもな。
付け合せに福神漬けやラッキョウなんかを用意する人が多いだろうけど、俺はサッパリしたいのでキュウリの一夜漬けが結構好きだったりする。
まあ、好みは色々なので、付け合せも色々用意したけど。
「さあ、できたぞ!ほら、みんなで運んでくれ!」
「「「はーい!」」」
「良い匂い!」「美味しそう!」「お腹空いちゃった!」と三人娘が喋りながら料理を運んでくれる。
折角、美味くできたことだし、しっかり食べてもらって師匠を祝おう!
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