第6話
塔に戻ってみたが、師匠の次に目覚めたのはレティーで、彼女は早々に動けるようになっていた。
で、動けるようになって何をしてたかと言うと、三人の娘達の世話である。
彼女達が一番魔素や魔力に縁が無いため、今回の高濃度の魔素の影響を強く受けたようなのだ。
いまだ目覚めないのが、その証拠なのだろう。
なので、俺は世話することもできずに追い出されてしまった。
「ダンジョンの様子はどうだった?」
「ゲンザイ、カソウからジュンにカクニンをしていますが、チュウソウよりウエでヘンイシュとイジョウシンカしたジョウイシュをカクニンしています。カズはロクタイです。ミカクニンカイソウはノコりハンブンほどです」
中層以上で変異種と異常進化した上位種か。
上層とかになると、もっと増えるかも知れないな。
今の内にできる分は処理しておこうか!
「分かった。現状把握できている分の情報をくれ。直ぐに討伐に向かう」
「リョウカイしました」
さて、手早くすませようか!
師匠が手に入れた元ダンジョンは、今もダンジョンではあるけど師匠が持ち主に代わったことで〈管理ダンジョン〉ってのになった。
その管理ダンジョンは〈賢者の塔〉って誰かが勝手に呼び出したらしい。
結局、師匠も訂正したりしなかったせいで、そのまま〈賢者の塔〉が管理ダンジョンの名称になってしまった。
その〈賢者の塔〉は全部で25階層ある。
下の5階層が下層、15階層までが中層、23階層までが上層、24階層は守護者階層(別名レティーの棲家)と呼ばれている。
ってのが転移前までの情報だったのだが、転移後の高濃度魔素の影響で急成長した塔が高さ百倍になったことで色々な意味で・・・百倍になってた。
「うっそーーー!マジかよ階層総数250階層だってーーーーぇ」
そう、まず階層数が十倍になってたのだ。
次に各階層の体積が十倍になってた。
結果、十倍の階層と十倍の体積で、合計百倍ってことみたいだった。
まあ常識的に考えて高さが百倍だから、階層が十倍に増えても全然少ないぐらいだろう。
だが、元々空間拡張されてた各階層の体積が十倍ってのは、大丈夫なのだろうか?
確か元の空間拡張されてた時の大きさでも直径が3000m、高さは200mだったはず。
それの体積が十倍ってことは、単純計算でも直径と高さが、それぞれ三倍とかになるってことか?
「馬鹿みたいにデカいじゃん!直径3kmが9kmで、高さ200mが600mって、そんな各階層で目的の変異種とか異常進化した上位種を探すの面倒臭いぞ!」
全然手早くすみそうも無い現実に愕然としてしまった。
これは下手に突撃せず、制御室でもっと情報を集めてからの方が良い!
で、戻って調べたら、高さが2倍で直径が5倍だった。
ついでに現在の塔の高さも確認すると1万mだって、旅客機の巡航高度じゃん!
そりゃあ雲が下に見えるって。
んで、制御室で変異種と異常進化した上位種の魔力パターンを入手。
これで魔力感知を使えば方向なんかが簡単に分かるようになるから、態々探す必要は無くなる。
他に確認された異常は無いか確認もしたが、上層より上では魔素濃度の制御が早かったみたいで、大きな問題は起きてない様子。
下層は、強くも無いモンスターが高濃度の魔素を浴びると耐え切れずに死んでしまう、ってことで問題無し。
つまり中層の異常を取り除けば終了ってことみたいだ。
まずは下からやっていこう。
本来だとゴブリン・キングまでしか発生しない設定なのに、ゴブリン・エンペラーが発生してるみたいだ。
それも変異種で体力馬鹿のエンペラーが魔法も使うんだって。
まあ、それでも所詮はゴブリンが進化しただけで、特に問題は無いだろう。
そんな風に思っていたのだが、事はそれほど簡単では無かったよ。
魔法が使えるって聞いた時点で確認しなかった俺が悪いんだけど、まさか〈基礎四属性〉全部使えるとは思って無かったのだ。
まあ、俺は〈基礎四属性〉どころか〈応用属性〉も〈複合属性〉も〈上位属性〉も全部使える。
それぐらいできないと、とても賢者の弟子何て言えないから、頑張ったんだ!
そんな訳で、最初は〈基礎四属性〉全部の魔法が飛んでくるからビックリしたんだけど、相殺できないように〈複合属性〉で何回か攻撃したら、あっさり終了したね。
まあ元がゴブリンじゃあ、どう頑張って進化しても〈応用属性〉も〈複合属性〉も〈上位属性〉も使えないだろうし。
さて、次は・・・オークか。
変異種だと食べれない可能性があるけど、上位種だったら美味いはず、どうか上位種でありますように!
何で、変異種だと食べれないか?
ってその前に、オークを食べるの?って聞くところじゃないか?
まあ、聞かれても答えは「慣れた」って言うしかないんだけど。
ああ、で、変異種だと食べれない訳ってのは、進化した上位種ってのは進化前の特性をそのまま強化する方向性なんだ。
でも変異種は変異と付いているように、要は突然変異な訳で、元の特性から外れた存在なんだ。
そうすると、体内に毒を持ってたり、異常に臭かったりなんておかしな変化をしてることが多いんだ。
そんな肉態々食べようと思わないだろ?
まあそんな訳で、食べれるモンスターの場合は変異種より上位種の方がありがたいんだな。
ちなみにオークの肉って、猪と豚の合いの子のイノブタっぽい感じ。
前に食べた上位種は、高級ブランド豚に猪の甘い脂を足した感じ。
で、上位になればなるだけ食べれるモンスターは美味しくなる訳だ。
となると、今回のオークが上位種なら、相当美味い肉が手に入るかも知れない。
さてと美味い肉を求めて、移動、移動。
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