第13話和扇の戦い②

政界をまだ諦めていない、泰造は相当な

野心家で、この負の連鎖を何とか止めたかった。

藁にもすがる思いで、和扇に


「じゃあ、じゃあ払うから!お祓いをして

ください!」


「承知致しました、では早い方が良いので

今から致しましょう、まずは木村家から

致しますので、その間にお金は用意出来ますか?」


「じゃあ私が行こう!金額が大きいから

本人じゃ無いとな」


「そうですね、あなた」


佳子と泰造は、通帳と印鑑を用意して銀行に

行く準備をした。


「では行ってきますので、よろしくお願い

します!」


「かしこまりました」


泰造は銀行に向かった。

和扇は調べていた、お祓いを見よう見まねで

して、家のあちらこちらに、札を貼って

行った。

そして、お清めの水として、キッチンに透明のコップに水を入れて


「この水に気泡が立つと良く有りません

直ぐに新しいお水を入れて、お祈りして

くださいませ」


そう伝えた。

そして泰造が、お金を持って帰ってきた。


「あなた、おかえりなさい!」


「お父さん」


「おじさん」


「和扇先生、これ1億有りますから!」


「今、木村様の家のお祓いは、終わりました

次は矢田様の家ですね、誰か連れて行って

頂けますか?」


「私が行こう!」


泰造が良く動く。


「では、お願い致します」


そして和扇は、木村家と同様にお祓いをして

お札を貼って、お清めの水を入れて仕上げた。

外の車を見て


「これは何か凄い、怨念を感じます!

この車は諦めて、新しい車に変えた方が

よろしいかと」


「はい!和扇先生、そうします」


甥の矢田陽一も、すっかり和扇を信じて

いた。

和扇は車を警察に、持って行かれる事を避ける為に言ったのだった。

そして、タクシーを呼んで帰る和扇。


「毎日、祈祷致しますが、何か有りましたら

直ぐに参りますので、皆様、心清らかに

お過ごしくださいませ」


そう話をして居ると、泰造の携帯が鳴った。


「和扇先生、ちょっとすみません」


「いえ、どうぞ」


「何~無理心中?後で掛け直すから!」


と言って、泰造は電話を切った。


「和扇先生、知り合いが無理心中を計って!」


「後もう少しで、あなた達も、そうなって

たんですよ、心清らかにを忘れずに、では」


そう言って、和扇はタクシーで駅に向かった。

駅で着替えを、済ませて居場所が分からない様に違うタクシーで、家に帰る。

家には、木村から取り上げた1億2000万が

有る。

歌保は、お金が目当てでは無く、お金を

取り上げて、人生から脱落させる事が目的

だった。


(でも、こんな大金を、スッと出すなんて

後、いくら持って居るんだろう?ただ

泰造のプライドが高くて、良かったわ

それじゃ無いと、お金は出さなかった

だろうからね)


歌保は探偵に、電話した。


「別案件」


「はい!」


「住所〇〇〇〇〇〇名前、木村泰造、佳子

修造、絵美の預貯金額を至急調査」


「はい!」


「もう一件、住所〇〇〇〇〇〇名前、矢田

陽一、春花、こちらも至急調査」


「はい!」


「報告頂き次第、報酬振り込みます」


「はい!」


電話を切って、テレビを付ける歌保。

黒田家の無理心中ばかりが、取り上げ

られていた。

それを見て歌保は


(無理心中で、処理されるのね!警察は

何をしてるんだろう?だから愛奈の事も

分からなかったんだろうね!)


そんな事を考えていた。

その頃港署では、テレビを見ている

権田、柊、早川がいた。


「う~ん」


「どうした?柊?」


「話のつじつまが、全部合ってるんですよね!」


「だから?」


「だから、気に入らない!」


「柊~お前は、天の邪鬼だな?鑑識が調べて

げそこんの一つ、髪の毛の一本も、無いん

だぞ!どうやって入って殺すんだよ!」


「そこなんですよね~」


そうして居ると、電話が鳴る。

権田が出る。


「おい、事件だぞ!行くぞ!」


「天の邪鬼先輩、行くっす!」


「早川~あんたね!」


柊は、早川に柔道の絞め技を掛けた。


「あ~もう言わないから、許してくださいっす、ごめんなさいっす!」


「分かったならよろしい!さぁ、行くよ!」


「はいっす!」


柊の勘は当たっていたが、歌保が一枚

上手だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る