見限られた女 後
高校一年の冬。気になっていた人から告白された。一緒にいると安心できる。そんなタイプの真面目な人だった。告白されたのなんか初めてで嬉しかったけどとても恥ずかしかった。
高校二年の春。付き合う前と比べて一緒に過ごす時間が増えた。些細な事だけど、距離が近くなった事が嬉しかった。
私の家は共働きだったのでいつも弟と2人で家にいた。私の家に彼がくると弟はとても喜んでいた。お兄ちゃんが増えたみたいな感じだったのかな?
彼は弟と一緒に遊んでくれた。私はゲームが苦手だったから横で見ていたけど、二人はすぐに仲良くなった。
高校二年の夏。ほとんど家で過ごしていた。彼はバイトをしていたのであまり会えなくてちょっと寂しかった。
それでも時間がある時は家に来てくれたり、弟も一緒に行けるという事で近くのプールに行った。
弟も休み中は友人達と遊んでいたが、彼がくる日は家にいた。少しくらい二人きりで会いたかったな。
高校二年の秋。彼の家に行った時に…なんだか良い雰囲気になって結ばれた。
初めてだったのでよくわからなかったけど、とても恥ずかしかった。でも彼が凄く優しくしてくれたので嬉しかったのは覚えている。
高校二年の冬。友人達に彼氏が出来た。冬休みの間に付き合い始めたそうだ。服装や化粧のせいか友人達の印象が変わった気がする。なんとなく可愛くなったような…
私は友人達と話す機会が増えた。興味があったので化粧の仕方とかをいろいろ教えてもらった。
高校三年の春。友人達は春休み中に私の髪を染めたり、ピアスを開けたりしてくれた。服も可愛い感じになった。彼に見せたかったけど、休み明けに見せて驚かせてやろうという友人達の言葉に従った。彼から家に来てもいいか聞かれたが、適当な理由で断った。
休み明け…彼は褒めてくれるだろうか。私はワクワクしながら春休みを過ごした。
登校初日。彼は私の姿に驚いていた。私なりに頑張った成果を彼に褒めてほしかった。
…だけど、彼からの言葉は私の予想していなかったものだった。
似合わない
ハッキリと拒絶する意思すら感じた。私がショックで立ち尽くしていると友人達が彼に反論していた。それがマズかったのだろうか…次に彼から出た言葉は…
別れよう
突然すぎる言葉。なんでそんな事になったのかわからない。私は彼に謝った。何度も何度も涙ながらに懇願したが…彼は私の言葉を聞いてくれなかった。
その日…彼と私は恋人ではなくなってしまった。友人達はあんな最低な奴とは別れたほうがいいって…私にはもう何もわからなくなっていた…
高校三年の夏。彼と別れて…何も話してくれなくなってしばらく経った。私はずっと彼の事を考えていた。去年の楽しい夏を思い出してしまう。今年も一緒にプールに行きたかったな…
友人達から誘いがあった。日焼けしに行こうとか…気分転換に髪を染めようとか…彼女達なりの励ましだろう。満足するまで付き合ってあげよう…
高校三年の秋。長い休みが明けたら彼は私の話を聞いてくれるかもしれない…そんな僅かな期待があった。
しかし、彼は私にはもう興味が無いとでもいうように目を合わせる事すらしてくれなくなった。
ああ…もう終わっていたんだな。ようやく私は彼との別れを受け入れた。…全てがどうでもよくなった。
高校三年の冬。見た目のせいかわからないが、男子からよく声を掛けられる。彼とはもうやり直す事はできないだろう。なら…他の相手を探すべきなのかもしれない…
私は男子から声を掛けられるままに付き合ったり…関係を持ったりした。友人達に止められるまで…
進学希望ではあったが、学力が低下しすぎていて第1志望どころか滑り止めまで落ちていた。両親に激しく怒られ、家にいるのも気まずい日々。友人の家に泊まる事が増えた…
それから何年か経った。友人達の家だけで泊まり歩くのは無理がある。バイトをしたり、時には体を対価として泊めてもらったり…。
友人の彼氏から求められた時もあった。まともな判断ができなくなっていた私はそれを受け入れた。
今は知り合った男の家で同棲に近い生活をしている。求められた時に体を差し出せば住む場所は確保できる。楽だ。
たまに友人の彼氏や他の男性達と会って体を対価に援助してもらう。
友人達に呼ばれて飲んでいる。友人の彼氏が浮気をしたとかどうとか言って揉めてた。
ちゃんと話せばわかるよ。落ち着いて話し合おう。
友人を慰めている友人が言った言葉…激しい違和感。なんで…そんな事を言えるの?私が…別れた時は…
最低な奴とは別れたほうがいい
私はその言葉を口に出していた。場が凍りつく。しかし、止められなかった。だって…おかしいじゃない。あの人は私に対して似合わないって言っただけ。それに対して非難して…別れようって言ったあの人に貴女達が言った言葉よ?
あの人は浮気した訳じゃない。あの人より最低なのは彼女の友人の私を金で買うようなソイツのほうなのに…なんで話し合おうとか言えるの?
私の暴露により飲み会は荒れまくった。激昂した男に殴られたり…半狂乱になった友人にぶたれたり…逃げ出した頃にはボロボロで体中痛かった。阿呆らしい。付き合ってられない。私は同棲している家に帰った。
後から聞いた話では友人達は別れたらしい。連絡をくれた友人は最後に私に謝っていたが…もうどうでもいい。
どうせ何も戻りはしない。だから…ただ流されるままに生きていこうと思う。思い出す事もなく…考える事もなく…流されるままに…
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