第十三節

 そして。私達にとって忌々いまいましい、ターニングポイントにもなった夏がやってきた。特別講師を招いた同性愛についての特別授業が行われた日の出来事だった。

 私達は当事者として貴重な意見を聞けたなと大満足していたのはその日の午前だけだった。お昼休みを挟むと授業の感想についてちらほら聞こえだしたのだが――それは理解のない、否定的とも取られる意見が大半だった。

 確かにこれくらいの年頃の人間には理解しきれないのかもしれない。大人になっても理解出来ない人間が多い訳だ、それはそうなのだ、そうだけど。その日の放課後、私は薄っすらと死を想像した。このまま、幸せなまま勝ち逃げしてしまいたいと思ったのだ。もっとも、これを打ち明けることが出来たのは冬の話なのだが。

 こうして私達は傷つくだけ傷つけられ、次の日は二人共高熱を出して寝込む羽目になった。クラスメイトのうちでは二人して夏風邪を引いたと思われそれはそれで構わなかったのだが、私達はクラスメイトの理解のなさから来る完全なるストレスで高熱を出しているのだと思うとひなの分も含めて憎たらしく思えた。

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