第十三節
そして。私達にとって
私達は当事者として貴重な意見を聞けたなと大満足していたのはその日の午前だけだった。お昼休みを挟むと授業の感想についてちらほら聞こえだしたのだが――それは理解のない、否定的とも取られる意見が大半だった。
確かにこれくらいの年頃の人間には理解しきれないのかもしれない。大人になっても理解出来ない人間が多い訳だ、それはそうなのだ、そうだけど。その日の放課後、私は薄っすらと死を想像した。このまま、幸せなまま勝ち逃げしてしまいたいと思ったのだ。もっとも、これを打ち明けることが出来たのは冬の話なのだが。
こうして私達は傷つくだけ傷つけられ、次の日は二人共高熱を出して寝込む羽目になった。クラスメイトのうちでは二人して夏風邪を引いたと思われそれはそれで構わなかったのだが、私達はクラスメイトの理解のなさから来る完全なるストレスで高熱を出しているのだと思うとひなの分も含めて憎たらしく思えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます