第十二節
整えてもらうたび、またすぐに髪がうねるのを見てひなは笑う。「もう少し髪質を丁寧に整えた方が良いかもね」と商品の説明を見せながら教えてくれる。「じゃあ買ってみようかな」と私が言うと「それじゃあ帰りにドラッグストア寄ってみようか、今日は雨あがるみたいだし」とひなは笑う。私とひなはこうしてお揃いのシャンプーになったのだが、今にしてはその香りすら苦しくなる時がある。甘く、それでいて嫌すぎず。髪を優しく包むその香りが、私は憎くなる時がある。
だけど、それでも。その香りはひなとの思い出でもあるし、ひなを忘れたくないと言う気持ちが強く先行し、今でも使い続けている。甘い甘いその香りは、今でも甘い日々を物語っていた。
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