第四章

第十一節

 二年生に進級して、私達は初めて出会ったベンチに腰掛けていた。「今年度は何して過ごそうか」とひなは笑いながらまた桜の花びらを捕まえようとし、また失敗を繰り返している。ひなの体格からすれば桜の花弁は風に舞い段々揺らぎが増していく。だから、私が高い位置で掴みまた渡すのだった。

 そんな最中、二年生の宿泊研修が始まろうとしていた。私とひなは今年も同じクラスに属した物の、班分けは別々となってしまった。少し、いやだいぶ寂しいのだが、それに関してはどうしてもくつがえせないのはわかっているので大人しくしているしかなかった。

 それでもひなは近づくたび手を振ってきたり声をかけてきたりしてくれたし、私はそれだけで救われていた。そしてそこで気付いた。私はひなに依存しきっているのだと。スマートフォンが持ち込めない宿泊研修の中、毎日行っていた夜間のメッセージのやりとりが出来ないことに苦しみを感じた。私の生活の中心は、知らない間にひなに埋め尽くされていたのだと今ようやく実感した。

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