第三章

第八節

 気が付けば季節は秋になっていた。夏服でいると少し寒い日がちらほらと見受けられ、ひなは「みくりちゃん!」と親友のフリで私に抱きついてくるのが日常になりつつあったし、周りもそれをそれがそうであるのが当然かのように扱っていた。

 二人で歩いて帰る毎日を送っていたが、ひなは時々ため息をつくことがあった。私には(今となってはようやくわかったのだが)その意図がうまく掴めず、かと言って踏み出すことも出来ず気の所為せいだと言う事でごまかしてきた。でも、この時動いても結果自体は変わらなかったのかもしれない。

 そのため息の理由は、周りの発言から来るものであった。ひなは私と居ない時は他の子と過ごすこともあるのだが(少なくとも嫉妬していたがそれは言わないでいたのだが)その時に同性愛者の話になり、なんとなしに聞いていた時。同調圧力か、それとも本音かはわからないが否定的な意見が相次いだ事を後に遺書で知ることになる。

 ――私はまた苦しむ。あぁ、あの時聞いてあげていれば。少なくとも苦しみはマシになっていたかもしれないのに、と。

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