閑話休題Ⅱ

 三月みつきひなは今日もまた苦笑いをした。彼女の机の抽斗ひきだしにまた恋人である憂節うきふしみくりからの手紙(それも、ラブレターと言っても差し支えない物)が入れられていたからだ。みくりは時々ひなのことを確かめるかのようにそう言う行為をする時があった。

 ひなはその行為に関して(少なくとも現時点では)嫌悪感も違和感も何も抱いていないし、どちらかと言えば愛されていると言う実感がありとても嬉しく思う事でもあった。それをうまく本人に伝えきれないのがとてもとても悔しく思うことが多いのだが。

 今日はどんな内容なのか、周りに誰も見ている人が居ないことを充分に確認すると、ひなは手紙を開き、その内容にぽかんとした顔をした。なぜなら手紙の内容は(少なくともひなの今持ちうる手段をすべて用いても)白紙だからである。

 慌てて次の休み時間にひなはみくりの元を訪れた。「どうしたの?急に白紙なんて。渡す物間違えた?」と問いただすとみくりは「ふふっ」と笑い「その反応が見たかったの」と小刻みに震えながら笑い出す。

「ひどい」とひながみくりを小突き、またそれに釣られるようにみくりは笑い出し、最後には呆れたように、それでいてまた楽しそうにひなは笑いだすのであった。

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