第二章

第五節

 私達が出会ったのは高校一年生の頃だった。桜舞う季節に、私はひなに一目惚れをした。校庭のベンチで無邪気に桜の花びらを捕まえようと苦戦している、長い黒髪に一見真面目そうな雰囲気とも言われる私とは対照的な桃色のボブにピン止めをした明るそうな小柄な少女――ひなに私は自分で舞った花びらを捕まえ手渡す。「あっ、ありがとう!」明るい声に私は少し怯んだ。やはり対角のような、私には明るすぎる少女だった。当然のようにすぐにひなは人気者になり、私はそれを寂しく思いながら眺めていた。

 ひなと仲良くなったのは五月の校外研修の時だった。まだ私があまり輪に打ち解けられない時にひなは私の事を必死にサポートして、なんとか輪に溶け込めるようにしてくれた。その流れで私はひなと仲良くなり、より一層彼女の事を意識しだした。

 あれは夏休みの時だった。ひなに遊びに誘われた時だ。

 私達は既に仲良くなっており、何でも打ち明けられそうな、そんな仲だった。――この恋心を除けば。

 私はひなと仲良くいられるならそれで充分に満足だし、変に踏み出して関係性を壊すのがとても怖かった。そう思っていた。

 休憩をするためにカフェに入った後に「あのね、みくりちゃん」そうひなは少し恥ずかしそうに呟く。「何?」と私は聞き返すと十秒、いやそれ以上の沈黙が訪れた。「好き」とだけ返ってくると私は頭の中が真っ白になってしまった。「ごめん、困らせちゃって。みくりちゃんになら話せると思ったの」とひなは言い、最後に「恋愛的に、です」と顔を赤らめてその後は数分間何も発さなかった。

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