408 騎獣以外の従魔連れは珍しいらしい
国境の近くにある村泊予定だったが、昼少し前に早く到着したため、もっと進んでもう一つ先の街まで行くことになった。村から半日ぐらいなのでちょうどいい距離である。
ヨング、エイレス兄弟は村の食堂で久々にマトモな食事をしたが、シヴァたちは空いてる場所で野外昼食。
食材を持っていることにしてあるデュークを召喚(のフリを)してから、狩ったばかりの大鳥を解体、料理。
鳥ならやっぱりサムゲタン、と重力魔法で圧力をかけ、骨まで食べれるようトロットロに料理する。
もち米があるので、ちゃんともち米スープで。味付けはシンプルながら鳥のダシがよく出ていて、美味しかった。
唐揚げも作ったが、これまたジューシー。
「この鳥、美味いな」
【うん!ランクがたかかったの?】
「さぁ?初めて見たから鑑定はしたけど、ランクなんてスルーしたんで」
【シヴァにランクはあんまりかんけいないもんね。…ん?なに?めずらしい?】
村人たちは旅人が来るのは慣れているが、騎獣以外の従魔連れは珍しいらしく、好奇心の強い子供たちが近寄って来ていた。
「そうじゃね?」
「こんにちは」
おずおずと、だが、肘でつつかれ代表になった子供はちゃんと挨拶する。
「はい、こんにちは」
「何食べてるの?」
「鳥スープと唐揚げと温野菜サラダ」
鳥スープの具材はシンプルにしたので、副菜を別で付けた。
「…ええ?旅してるんでしょ?そんなに食べるものってあるの?」
「鳥はさっき狩った。野菜はマジックバッグがあるからな。たくさん入る魔法のバッグ」
子供たちが何それ?という顔をしたので、説明した。
「魔法なんだ!…その変わった鳥、…鳥?鳥のお面をかぶった羽のある大きい猫?は何?」
【グリフォンだよ。おめんじゃなく、こういったまもの。マスターがテイムしたいいまもの】
「いい魔物?」
「その説明も何だと思うぞ。人間と契約して手伝いをしてくれる魔物。その契約した人間が命令すれば、人も襲うから『いい魔物』とは言えない」
「ふーん。そうなんだ」
「魔物なのに何でしゃべるの?」
「頭がいいしゃべる魔物もいるんだよ。高ランク…スゲェ強い魔物ばかりだけどな。このグリフォンはまだ子供だけど、成獣になれば3m以上になるAランク魔物」
「そんなに大きくなるんだ?家に入れなくない?」
「馬みたいに小屋作るんじゃない?」
「そうなの?」
「いや、ウチは広いから放し飼い。家の中はさすがに成獣が飛び回れる程広くはねぇから行動の制限はされるけど、改築してもいいし」
デュークが難なく小型化スキルを使いこなせるようになっているのなら、改築の必要もないが。
「え?何?シヴァ、家あるのか?」
食事に夢中だったマンダルだが、聞いてはいたようで口を挟んだ。
「おう。別宅もいくつかある。言っとくけど、愛人も妾も第なん夫人とかもなし。妻は一人の愛妻家だから」
一夫多妻の国も愛人や妾を持つのが男の甲斐性などという国もあるので、誤解のないようしつこく否定しておいた。
「…マジで大金持ちなのかよ」
「冒険者だからお金持ちなの?」
「もうかるの?冒険者って」
「ダンジョンの下層に潜れる程強くなって、運もよければな。運が悪いとダンジョンで出る宝箱や魔物を倒したドロップ品も中々出なかったり、出ても大したもんじゃなかったりする。何人かでパーティを組むと運が悪いのは緩和されるし、危険も少なくなるけど、いいドロップもあまりなくなる」
「そうなんだ」
「三人でパーティ組んでるの?」
「いや、護衛依頼で一緒になっただけの臨時パーティ。それぞれ普段は別々。ソロ冒険者」
【ぼうけんしゃにあれこれ、きかないほうがいいよ?シヴァだからこたえてるけど、しょくじちゅうにはなしかけられるの、いやがるひともおおいからね】
事実だ。食事で手が塞がるので、万が一に備えられないから、と。
「あ、それはごめんなさい」
「でも、食べ終わるとすぐ行っちゃうんでしょ?」
「ああ。おれは話すのは別に構わねぇよ。何が知りたい?」
「えーと…」
色々訊きたいことがあるようだ。
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