407 旅の醍醐味を味わう!色んな意味で。
護衛依頼二日目。
朝食は焼き鮭(魔物)、玉子焼き、根菜とトットリー肉の煮物、豆腐の味噌汁、漬物といったほぼ定番和定食にした。シヴァだけ納豆付きである。
マンダルにも勧めてみたが、納豆臭がやはり抵抗があるらしい。
この辺では中々見ない味噌や豆腐でも、他は美味しく食べていた。
デザートはシンプルに角切りフルーツ入りヨーグルト。
日が出て来ると暑くなって来るので、明るくなり始めたな、という時間に出立準備が出来たので、早々に出発した。
全員、早寝したので朝も早かったのもある。
しっかり栄養バランスを考えた食事は、たった一日でも影響あるようで身体が軽いとマンダルもナディアも言っていた。
冒険者たちは総じて肉ばかりで普段から栄養が足りないような気がするが、身体が資本なのに
オアシスの街から南に一日半で砂漠を抜ける、というのが平均だそうだが、ペースを上げたおかげで半日もかからず二時間ぐらいで砂漠を抜けた。
この辺には休憩に
お茶した後、これからは草原や山や荒れ地で魔物も少なくなるし、昼前には国境を越えてティアマト国に入国するので、デュークとバロンは送還…に見せかけてホテルへ送った。
従魔二匹が減ったので隊列も変え、斥候で土地勘があるナディアが先頭、鳥の従魔と連携して索敵しながら進むことになる。
斥候としてのナディアの能力は大したことがないが、鳥系魔物の従魔…クルルは中々
いいの?いいの?これでいいの?とばかりに、ナディアを気にしている辺りが。
従魔なのに意思疎通がイマイチなのはちょっと可哀想だが、クルルは人間の言葉はあまり理解していない。念話でそこそこ伝わる程度だ。
ナディアが念話を使えないので、改善するのなら従魔契約のやり直ししかない。
シヴァがそこまで世話を焼く義理もないので放置だ。
「ナディア。止まれ!」
何度めかクルルを探索に出している時、シヴァはナディアもヨング、エイレス兄弟の騎獣車もマンダルの騎獣も止めた。
「結界を張ったからここにいろ。おそらく、大型鳥系魔物だ。クルルが絡まれてるから助けに行って来る」
シヴァは探知魔法でクルルの周辺も追っていたので、気付いたのだ。
木のない岩山が近くにあるので、その辺が大鳥魔物の住処なのだろう。
シヴァは足場結界を蹴って加速し、空を飛ぶと言うより、弾丸のようにほぼ直線で急行した。
クルルは羽を傷付けられていたが、岩や木を盾に何とか逃げていた。
大鳥魔物は首が長くクチバシは短い今まで見たことがない種類だった。翼長3mはあるだろう。
久々に合金刀で首を
それからクルルを確保して回復魔法と【クリーン】をかけ、今度はそこそこの速度で空を飛んで隊商と合流した。
「クルル!大丈夫だった?」
「怪我は治したが、失った血まではどうにもならんから、しばらく休ませとけ」
シヴァが抱えたクルルを離すと、すぐにナディアの肩へ乗った。
「分かった。ありがとう。ポーションは下級でよかった?」
ナディアはトカゲ騎獣にくくったバッグに手を突っ込む。マジックバッグは持ってないのだ。
「いや、回復魔法で治したから別にいい」
「…シヴァ。何でもありだな。飛行魔法といい。行きは縮地か何かのスキルを使ったのか?」
「いや、ジャンプしただけ。飛び石のように足場結界を作って。飛ぶよりスピードが出るから」
「…はぁ?」
「まぁ、マネは出来ねぇだろうな」
「そもそも、シヴァさん、馬いるの?飛んだ方が速くない?」
「あ、それはおれも思った」
「速く移動するだけじゃ、旅の醍醐味は味わえねぇだろ。クルルを襲ってた大鳥魔物だってこの辺特有らしく、今まで見たことなかった種類だったし」
「それはそうか」
シヴァの言い分に二人共納得した所で、再び出発をした。
国境の関所では並ぶかと思いきや、一応門はあるものの、素通りでよかった。友好国にしても不用心過ぎだが、手が回らないというのが実情だろう。
小国群はしょっしゅう小競り合いが起きており、タクララン国とティアマト国は今の所友好で平穏でも、他の隣接した国とはそうでもなく、『平和とは争いと争いの合間である』という格言そのままのようなので。
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