138 あ、いいこと思い付いた!
――――――――――――――――――――――――――――――
名前:アカネ(茜)
年齢:23歳
状態:良好
職業:冒険者(Cランク)
Level:147
HP:8900/8900
MP:5500/5500
攻撃力:A
防御力:A
魔法防御力:B
素早さ:A
器用さ:S
知力:S
幸運:A
スキル:多言語理解、射撃、剣術、鑑定、錬金術、速読術、魔力自動回復、浮遊魔力利用、状態異常無効、念話、直感
魔法:生活魔法、属性魔法(火・水・風・土・雷・氷)、身体強化、結界魔法、付与魔法、探知魔法、重力魔法、回復魔法、飛行魔法、影魔法(影転移、影拘束、影収納、影分身、影斬撃)、ボイスチェンジャー、変幻自在、隠蔽魔法、チェンジ、スリープ、パラライズ
称号:転移者、シヴァの愛妻、フェンリルの加護、フェニックスの加護、華麗なる殲滅者、ドラゴンスレイヤー
ソロ攻略(アリョーシャ、イリューガル、パラゴ、エレナーダ)
――――――――――――――――――――――――――――――
エレナーダダンジョンソロ攻略後のアカネのステータスはこれだ。
防御力がBからAにやっとなったので、かなり安心出来る。HPMPの伸びも順調だし、後は魔法防御力だけだ。魔法攻撃を受けないと中々上がらないので、シヴァ同様、長くかかりそうだが。
レベルが上がったことで魔力操作もし易くなったのか、アカネは錬金術でアクセサリーが作れるようになった。ガラス錬成と石のカットも。もちろん、元々手作業でアクセサリーが作れていたことも大きいだろう。
この世界、回転してカットしたり磨いたりするルーターのような魔道具はあるのに、不器用なことからカット技術が未熟で、せいぜい17面体までしかなく、ダンジョンから出る24面体以外は、ほとんどがカボションカットだ。
「やっぱり、定番の花モチーフだよね」
涙型のカボションカットにしたブルートパーズ、ピンクトルマリン、グリーンガーネット、アメジスト、黄水晶の五つの半貴石と銀で花を象ったペンダントヘッドを作り、チェーンも銀で。
バネを使った引き輪はこの世界では画期的過ぎるので、こちらで一般的なS字のひっかけるタイプの金具。
何の加工もしていないと酸化して黒くなってしまうので、プラチナコーティングをシヴァがした。さすがに、ここまではアカネには出来なかったので。
コーティングをしてあるのは使い続けていないと分からない。
定番デザインだが、可愛い色の取り合わせで、ペンダントヘッドも2cmとそう大きくなく重さも軽いので、どんな服でも合うだろう。
しまい込むより愛用してくれた方が嬉しい、とアカネがその辺りも考えたワケだ。
花嫁たちも喜んでくれるだろう。
『異世界版シンデレラ』の感想文依頼の報酬は、無色透明ガラスを58面体のブリリアントカットした一粒石のプチネックレスだ。
バチカンではなく、台座に直で鎖を繋いだので、回り難くなっている。元の世界でこちらも定番だ。
スワロフスキーまでは行かないだろうが、かなり光るので喜んでくれるだろう。
こちらはバレそうなので、コーティングなしの単なるシルバーだが、適度な強度にするため、元の世界のように合金にしてある。
こちらでは豊富に銀が採掘出来るため、アクセサリーは純銀のまま加工するのが一般的だが。
「はい!」
「はい、アカネさん」
アカネが手を挙げたので、シヴァは指名してあげた。
「これ、ひょっとしなくても気軽に出してはダメなものではないかと。このブリリアントカット、シヴァにしか出来ないし、この世界にあるのは17面体がせいぜいって言ってなかったっけ?」
「ダンジョンで出た石を加工したって言えばよくね?現にあるし。24面体までらしいけど、一々数えねぇだろうし」
「コアちゃんたちにもカット出来るの?」
「キーコ、出来る?」
【こんなに小さい石には無理です!】
「ほらぁ~」
「よし、魔道具作る。こんな時こそアイテム創造で」
どうせなら、原石から不純物と宝石やガラスや鉱物をより分け、指定した宝石で様々なカットが出来るように。
宝石の粉も捨てずに溜めておいて再合成、再合成する形もイメージ通り自由になるように。
もちろん、ガラスや鉱物を指定通りの形にも出来、チェーンの作成も手間なしになった。
では、いっそ材料さえ入れれば、アクセサリーが作成出来るようにすればいい。
そんな盛りだくさんな多機能魔道具でも、アイテム創造なら可能だった。素材と魔石から作ったので作成魔力量も抑えられた。
「命名『アクセメーカー』!」
テレッテッテレ~!
「まんまじゃん!」
「そう凝った名前を付けると分かり難いだろ。石や素材に魔法陣を仕込むとマジックアイテムや魔道具も作れそうなんだけど、どうかなぁ?通信バングルとかPバリア2のアクセ型とか」
アクセメーカー内は空間拡張してあるので、街クラスのバカでかい結界以外なら作成可能だ。
「それはシヴァが錬成した方が速いんじゃない?」
「おれ以外が作れるように…って、あまりに小さいと魔法陣が仕込めねぇか」
「アクセメーカーだけでもかなりすごいけど、そもそも、細工が細かい物は女性職員の報酬に向かないよね?高額になり過ぎ」
「確かに。当初の目的から外れたか。うーん」
「石なしのデザインネックレスにすれば、どう?ボールチェーンとか…ああ、細いか…」
「なんだよなぁ。いっそ革紐ネックレス」
「一気に森ガール、或いはロッカーな感じ。もう普通に色の付いた水晶のカボションカットのプチネックレスにしたら?クオリティが高いだけでも喜ぶだろうし」
「それが無難か。ネックレスも細か過ぎねぇよう気を付けて」
こちらの世界のチェーンは一番簡単な小豆チェーンが基本で、形が揃ってないことも多い。
「あ、樹脂。カボション型作って、ドライフラワーが入った樹脂のペンダントトップを作ればいいんじゃね?」
「あ、そういえば!UVじゃないレジンアクセだね。うん。いいと思う。小さい花もちょうどあるし」
…ということで、まずはドライフラワーを風魔法で乾かして作り、型をゴムと他の素材で錬成し、大きさを色々作って、ドライフラワーを入れてから樹脂を流して乾かし、台座はなしで樹脂のペンダントトップに直に穴を開けて丸カンを付け鎖を繋いだ。ペンダントトップと鎖を合わせた長さで45cmにする。アカネには少し長いが、大半の人はもう少しガタイがいいからだ。
「うん、可愛いよ。これ、たくさん作ったらかなり売れるって。レシピを登録してもいいんじゃない?型は木枠だっていいんだし」
「取り難いだろうけどな。いや、油塗れば平気かも」
では、と涙型は木枠バージョンを試してみた。油を塗ったものと塗ってないもの。塗った方が圧倒的に型から剥がし易いが、塗らなくても普通に外れる。
「このレシピを登録するんならパラゴだな。材料のソルジャーアントの目とカエルの粘液がダンジョンで手に入るし」
「両方手に入るダンジョンって実はあまりないかも?カエルは結構見るけど」
「そうかも。蟻はいても目はドロップしねぇな。レアってワケでもねぇんだけど」
「パラゴダンジョンの需要が増えたらパーコちゃんが喜ぶね」
「ああ。…そうか、そういったダンジョン経営の仕方もありだよな。マッチポンプ」
経営と言える程、手を加えていないが、魔物とドロップを少しずつ需要が高い物に変えているおかげか、ダンジョン入場人数は上がっている。
「あはははは。…あ、いいこと思い付いた。固めた樹脂をアクセメーカーでブリリアントカットって出来るのかな?柔らか過ぎ?」
「いや、柔らかい石もあるから出来るハズだ。配合で樹脂の硬さ調整も出来るし。おお、人工宝石か」
「そうそう」
シヴァは硬めに調整して固めた樹脂を、アクセメーカーに入れてカットしてみると、目論見通り、人工宝石が出来た。照りも光も申し分ない。
「うん、綺麗。色んな色だけじゃなく、グラデーションとかも出来そうだね」
「カービングで蝶とかも。…細い所の強度が足りねぇか」
「ぱきって行きそうだよね。ワイヤーで補強入れたら?あ、あったじゃん。レジンの蝶。ワイヤーで骨組み作ってレジンを流し込んで固めて」
「あ、はいはい。そう言えば」
立体的な蝶で綺麗なので、物作りをやる人たちの間で一時期流行っていた。
作ってみようかな、とシヴァが細いクラフトワイヤーを錬成すると、アカネはタブレットに蝶の絵を思念操作で描き、【ドラゴンアイ】の片眼鏡を装着して、銀の塊から一気に錬成して見せた。繊細な細工の銀線の蝶である。
イメージを明確化し、小さくても細い所までよく見えるよう【ドラゴンアイ】を装着したことで、かなりのショートカットが出来たワケか。作ったことがある、というのも大きいだろう。
「はやっ!慣れて来たな、錬成」
「何とかね。樹脂塗るのは錬成ではちょっと無理そうだけど、アクセメーカーで出来る?」
「色を付けた樹脂を入れれば多分」
はいはい、とシヴァがカラフルな樹脂を作り、銀線蝶と一緒にアクセメーカーに入れた。アカネがタブレットに描いた蝶はカラーなのでそのままイメージするだけで、出来上がり。
「うん。硬さもこのぐらいでいいな。学習機能を追加しとこう」
蝶の出来栄えに満足したシヴァはアカネに渡し、一度作った物、分析した物なら何度でも作れて、拡大縮小、色違い素材違いも出来るようにアクセメーカーを改良する。
そうして、物作りに費やし、ドライフラワー入りレジンもどきプチネックレスも、中の花違い色違いで量産して、ティファ○ーブルーの紙箱ケースに入れて収納した後、シヴァはアルに化けて王都エレナーダの冒険者ギルドへ行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます