快適生活の追求者2~珍味佳肴時々ゲリラ~

蒼珠

第1章・妻のレベルを上げよう!

001 かなり弱いのでレベル上げは急務!

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【前作超簡単あらすじ or おさらい】

 元々規格外の愛妻家、いきなり、死体に意識(魂)が入る強制単身赴任で異世界転移させられた。

 記憶が曖昧なため、アルと名乗り、魔法やスキルを覚え、ダンジョンに潜って資金を稼ぎ、ダンジョンマスターになったことで、元の身体に化けられるようになり、シヴァと名乗って派手に動き、単身赴任させた元凶をおびき出そうとしたが、接触なし。怪しいアイテムや素材や情報には遭遇。

 なりゆきで自動販売魔道具で商売し、スタンピードを治めたことで【界渡りの有資格者】の称号を獲得、愛する妻と自分の身体を取り戻した。

 これで単身赴任は終了になったのだが、元の世界には帰れず、まだまだ不可解なことも多く……。

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「アカネ、おれのことはシヴァって呼んで。アカネは本名でも浮かない名前だけど、カタカナっぽい呼び方するから」


 黒髪黒目で美形と言われることが多いシヴァは、三ヶ月ぶりにようやく会えた可憐な妻…アカネにまずは呼び名の変更を要請した。

 よく似た語感の名前もたくさんあるので、アカネの名前はこの世界でも浮かない。


「分かった。本名だと浮くもんね。でも、破壊と再生の神って誰が付けたの?」


「おれ。何となくで、だけど、そのまんまかも」


「元々そんな感じだよね~」


 一時的に元の世界に帰れたシヴァが自分の身体を取り戻し、愛妻のアカネを連れて異世界に戻って来た翌日。

 まずはアカネ用の多機能マルチ魔道具…タブレットを作り、シヴァの覚書のコピーを入れて渡した。

 約三ヶ月前、シヴァがこの世界に来てからの簡単な日記でもある。

 アカネにオーブを使わせ【多言語理解】スキルを習得させたし、ニュアンスが分からない時は日本語にも変換出来るので言葉の問題もない。


 ここはラーヤナ国キエンダンジョン、マスターフロアにある温泉宿風自宅。

 その作業部屋のソファーにて、アカネはタブレットの日記を夢中で読んでいた。

 アカネにとっても、かなり興味深いことばかり書いてあるらしい。

 …うん、物作りのこともたくさん書いてあるからか。

 アカネはDIYのセミプロで器用に何でも作る。シヴァのように設計から、ではなく、作り始めてから色々と考えるタイプで、作業がかなり速い。


 そして、料理上手で特にお菓子作りには秀でていた。同じ材料同じ手順のつもりでも、かなり味が変わって来るぐらいに。だから、アカネの作る菓子のファンも多かった。

 こんなアカネなので、錬金術スキルはすぐ生えることだろう。


 シヴァがアカネに護身術と合気道を教えていたので、ど素人でもない。

 グアムでの実弾射撃の成績はアカネの方がよかったので、拳銃の魔道具を作ろうか。この世界だと女で160cmの身長だと低めに入るぐらい、欧米人並みに男女共平均身長は高めだった。

 リーチが足りないので飛び道具の方がいいだろう。接近戦も出来るようには鍛えるが。


 装備はどうしようか。

 明るい茶髪の短い髪は右側が顎まで長いアシンメトリー。

 雪国出身特有の白いきめ細かい肌に蜂蜜色の瞳、顔立ちも繊細に整っていて清楚な美人だが、周囲に馴染む順応能力が高過ぎて何故か目立たたない。一度気付いてしまうと、その限りではないのだが。

 日本人ではなく、ハーフか、外国人だと思われるその容姿は、この世界でも全然違和感がなかった。


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名前:アカネ(茜)

年齢:23歳

状態:良好

職業:

Level:1

HP:50/50

MP:50/50

攻撃力:B

防御力:D

魔法防御力:C

素早さ:B

器用さ:S

知力:S

幸運:A

スキル:多言語理解

魔法:生活魔法、属性魔法(火・水・風・土・雷・氷)、身体強化、結界魔法、付与魔法、探知魔法、重力魔法、回復魔法、飛行魔法、影魔法(影転移、影拘束、影収納、影分身)、ボイスチェンジャー、変幻自在、隠蔽魔法、チェンジ、スリープ

称号:転移者、シヴァの愛妻

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 今のアカネのステータスはこれだ。

 器用さ、知力がSなのはさすがだが、幸運もAなのはすごい。

 ラーヤナ国キエンダンジョンのダンジョンコア…キーコにスクロールをビシバシもらって魔法を覚えさせたが、空間魔法だけは適性がないため、覚えられないそうだ。

 超越者の思惑外に連れて来たからか、アカネにはスキルが何もなかった。


【シヴァの愛妻・シヴァと一緒にいても妬まれず、シヴァ特有スキルの恩恵をもらえる】


 シヴァ特有スキルというと【行列優遇】か?しょぼい。シヴァの加護とかステータスのプラス補正じゃないのか。

 鑑定やアイテムボックスがもらえる、とか。

 まぁ、スキルオーブはキーコが作成中だが。

 妬まれないのは前からだ。シヴァの方こそ、「妬まれない」というのは欲しい。アカネはヤケに本気っぽい奴らに惚れられるので。


「それにしてもすごいよ。このタブレットと思念操作って。図面とか一発で引けそう」


「アカネはあまり書かねぇクセに」


「まぁ、そうだけど。宝箱から出たの?アーティファクト、みたいな?」


 アカネもファンタジー知識はそれなりにある。

 シヴァが作ってる所は見ていなかったか。


「いや、おれが錬金術で作った。最近ようやく、欲しい物がそこそこ作れるようになってさ。装備はどうする?さっきから考えてたんだけど、ゲームっぽい露出過多は却下にしても」


「じゃ、武器は大鎌?」


 キーコの分身、カラフルな蝶型のキーコバタとアカネも同じ趣味か。


「…スッゲェ使い難いぞ?重いし」


「いや、冗談だから真剣に考えなくていいって。…あら、お客さん?」


 白銀のフェンリルの神獣、大型犬サイズになったイディオスが作業部屋に入って来た。


『そうなるかな。初めまして。フェンリルのイディオスだ。呼び捨てにしてくれていい。ステータスを見ても信じられんな。こんなに可愛い清楚な美人がシヴァの奥方とは』


「よく言われる。アカネ、イディオスは神獣様だけど、気さくなんで本当に呼び捨てでいいぞ。友達でここにも部屋がある」


「分かった。…こちらこそ、初めまして。アカネと申します。こちらも呼び捨てで構いませんが、撫でさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


『敬語もいらんて。アカネ、われを撫でたいのなら構わんぞ』


「ありがとう!」


 アカネは大喜びでイディオスを撫でまくった。もふもふふわふわだ。

 気持ちは分かるだけに、シヴァは苦笑するしかない。




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関連話☆60万PV突破記念SS

「番外編21 うちの主人がお世話になりまして―イディオスside―」

https://kakuyomu.jp/works/16817330656939142104/episodes/16817330663441550203

「快適生活の追求者~強制単身赴任転移~」を読んでいない方だとネタバレになりますので、ご注意下さい。


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