第百七十八話 悪逆皇帝と戦女神


「がんばえ〜〜! まゆゆ〜〜!」

「まゆゆ〜〜!! 負けないで〜〜!」

「「「うぉーー!! まゆゆーーーー!!」」」


 熱い声援に包まれるプリティマユレリカ。

 思わぬ敵の登場に熱気は増し、会場のボルテージは際限さいげんなく上がっていく。


 年端もいかない小さな子供からまゆゆグッズを身に纏った少女、挙げ句ガタイのいい屈強な騎士まで。

 まゆゆの危機を前にみな固唾かたずを呑んで見守っていた。


 そんな中、時は少しばかりさかのぼる。


 それはヴァニタスたちによるオータムリーフ公爵家襲撃事件も収束を迎え、エルンストによって細部の交渉が行われていた頃。

 時系列でいえばハベルメシアが宮殿の自室にて引き籠もり、ヴァニタスとの再戦について悩んでいた時のこと。






「……お父様、お話があるとのことでしたが一体何の御用でしょうか? わたくし、収穫祭の準備で忙しいのですけど?」


 昼間だというのにカーテンを締め切り、薄暗い室内。

 学園は休みとはいえ間近まじかに迫った収穫祭を前に、準備に余念のないマユレリカは不機嫌さを隠すことなく暗闇の先にたたずむ人物へと話し掛ける。


「……話とは他でもない。プリティマユレリカの今後についてだ。まあ座れ」


 彼女を呼び出した張本人こそマユレリカの父、リバロ・ランカフィール。

 机に両肘りょうひじをつき、口元を隠すように両手を組んだ彼からは感情の波はうかがえない。


「…………」


 この時点でそこはかとなく嫌な予感を覚えたマユレリカだったが、呼び出された手前ひとまずはリバロの対面の席へと腰掛ける。


 自分を魔法少女へと仕立て上げた時のように、また何か良からぬことを考えているのではないか。

 疑いの眼差しで見詰める彼女にリバロは真剣な声音で話し出す。


「まず現在の主力商品である魔法少女まゆゆ関連のグッズだが……売れ行きは大変好調だ。どれも爆発的に売れている。特にまゆゆの相棒であるらーちゃんのぬいぐるみは、予想を遥かに上回る勢いで需要に対して供給がなんとか追いついているのが現状だ」

「……ええ、自分の商会ですもの。わたくしだってそのぐらいは把握していますわ。不本意ではありますが、ほんとうに不本意ではありますが、いまや魔法少女……ま、まゆゆは帝都でも知らない者がいないと言われるほど有名になりました。それこそ平民も貴族も身分関係なく広まっていますわ。……それに、ラパーナさんには申し訳ないですが、らーちゃんに至っては帝都のみならず帝国の主要な都市にまで広がっていますもの」


 ラパーナをモチーフにした黒うさぎのらーちゃんは、そのあいくるしさもあり予想以上の人気をはくしていた。

 一体一体が職人の手作りのため生産効率は悪いが、帝都を席巻せっけんする魔法少女という新たなブームに乗ったお陰か、老若男女ろうにゃくなんにょ問わず幅広い層に売れている。


 ちなみみにクリスティナの部屋にはどデカいらーちゃんぬいぐるみがこっそりと置いてあるが、ラパーナはそれを知りつつも見て見ぬふりをしている。


「噂ではあのウィンタースノーの当主すら部屋に隠し持っているとかなんとか。……いや、あの女傑じょけつに限っては万が一もないだろうがな。でだ。本題はここからだ。さらなるグッズを展開したい」

「……これ以上のグッズ、ですか? ですけど、まゆゆ関連ももうティアラに衣装コスチューム水晶杖ステッキと出尽くしていますけど……」


 通称『まゆゆなりきりセット』はプリティマユレリカの売上を支え、魔法少女ブームを象徴しょうちょうする大事な商品。

 どれもお手頃価格で買えるためか平民から貴族まで分け隔てなく行き渡っていた。


 衝撃に強くそれでいて綺羅びやかに光り輝くティアラ。

 普段の服の上から簡単に着れて、さらには多少の水分や汚れも弾く衣装コスチューム

 本物の水晶とまではいかないまでも、軽く透明度の高い素材で作られた水晶杖ステッキ

 どれも子供たちにとっては自分だけの宝物だった。

 

 また、リバロが発案したまゆゆを模した人形は、その作り込みの精確せいかくさから、帝都の平均月収から見ても超高額にも関わらず、一部の熱心なファンから絶大な人気を誇っていた。


「そうだ。しかし、いまのまゆゆ一人の状態では限界がある。それはわかるな」

「……ええ、わたくしも商人の端くれ。いずれまゆゆの人気も頭打ちになるのはなんとなくわかりますわ。ではどうされると? まさかまた誰かを巻き込んで魔法少女にするなんて……!」

「…………」

「リリカやアンビィーたちまで巻き込むのはいくらお父様といえど流石に看過かんか出来ませんわよ! 彼女たちならお父様から頼まれれば断りはしないでしょうが、それは立場を利用したあくどいやり方です! いくらあきないに命を懸ける商人とはいえあまりに誠実さがありませんわ!」


 勢い良く椅子から立ち上がり、声を張り上げリバロを糾弾するマユレリカ。


 対するリバロは冷静だった。

 娘の過激な反応にも淡々たんたんと返す。


「ああ、そんな乱暴なやり方はするつもりはない。やるにしてもリリカやアンビィーたちの意思は最大限尊重する。無理矢理などお互いにとって良くないからな」

「……ならいいのですけど……」

「……というか言っては悪いが彼女たちではインパクトが弱いのもある。そうだな。………無慈悲なる悪逆皇帝ヴァニタスくんを登場させよう」

「ブッ」


 思わぬ単語が飛び出たことで吹き出してしまうマユレリカ。

 淑女にあるまじき行為だったが、それを気にする余裕など彼女にはなかった。


「ば、馬鹿なんですの! ぶっコロされますわよ!!」

「父親に向かって馬鹿とは酷いな。これでも私は真剣にプリティマユレリカの将来をうれいているんだぞ。まゆゆには何らかのテコ入れは必要だ。それに、魔法少女を増やすにしてもただ増やすのでは芸がない。たとえばストーリー性を持たせるとかな。……そうだな、敵側に寝返らせるか? 悪逆皇帝繋がりで――――悪の女幹部くりす、悪の女幹部ひるで。どうだ?」

「ちょ、ちょっと待って下さいまし! クリスティナさんやヒルデガルドさんまで巻き込んだら事態は余計悪化しますわよ!」

「何を言う。あくまで参考にするだけだぞ。それにこれは創作フィクションだ。わかるだろ? 演劇で現実と似通った人物が登場するなんてのはよくあることだ。悪逆皇帝だって勿論彼の名前を出すつもりはない。そもそも創作フィクションを現実と一緒にするな。これだからニワカは」

「何故わたくしが責められるんですの!?」

「それと私のことは今後リバロプロデューサーと呼べ」

「プ、プロデューサー?」

「そうだ。リバロピーだ!」


 無駄に気合いの入ったリバロにさしものマユレリカも気圧けおされていた。


 しかし、彼女の脳裏に浮かぶのはヴァニタスの苛烈さ。

 このままでは自分まで一緒に粛清お仕置きされかれない。

 焦りにも似た強い想いが彼女を衝き動かす。


「ぐぬぬ、し、しかしです! 百歩譲って悪逆皇帝を推し進めたとしてもまゆゆ側こちら側の戦力が明らかに不足していましてよ! これではまゆゆに勝ち目がないではないですか!」

「勝ち目、か。あー、まあ……ないな」

「でしょう!? それに、ストーリーを付け足すのは異論ないにしても、ヴァニタスさんたちがモデルとなんて絶対に許可される訳ありませんわ!」

「そうか……イケルと思ったんだがな」

「そもそも! お父様はらーちゃんの件でもヴァニタスさんにこっぴどく叱られていたではありませんか!」


 らーちゃんグッズの売上の約半分はラパーナの手に渡る。

 だとしても、ヴァニタスが己の大切なものを利用した相手を簡単に許す訳もなかった。


 諸悪の根源であるリバロは小一時間逆さ吊りにされ、ヴァニタスに今後許可なく変なことはしないと誓っていたのだが……。


「そこに商売のタネになる原石がある。なら……たとえ危険極まりない死地でも一歩踏み出すのが真の商人だ。違うか?」


 なお、実際このようなことをヴァニタスの前で口に出せば、さらなるお仕置きの末に二度と余計な思考が出来ないよう矯正きょうせいされるだろうことは想像にかたくない。


「うぅ、何故こんなことに……」

「まあ、そう落ち込むな」

「なにをっ! お父様のせいではないですか! うぅ……結局わたくしは決起集会にもハブられて、所詮仮初の関係だと距離を取られるだけなんですわ。そのせいで……わたくしはラパーナさんにまで嫌われて……」

「私だってだな。お前の商会の未来を憂いて……」

「それだってわたくしの名を冠しているのに勝手に決めて! うぅ……酷いではありませんか」


 取り乱し、ますます混沌とする場の空気。

 そんな時、何もかもを吹き飛ばすように部屋の扉が音を立てて開かれる。


 暗闇に指す光。


「話は聞かせて貰った!!」

「は……?」

「マユレリカ、その話私も一枚噛ませて貰おうではないか!」

「ええー、何故ここに皇女殿下がいますの!? ま、まさか……」

「そうだ。俺が呼んだ」


 乱入者の正体、それは見知った顔であり、ラゼリア・ルアンドールその人だった。


 予想もしなかった人物の登場に唖然あぜんとなるマユレリカ。

 反対に得意気に微笑むリバロ。


 小憎たらしい顔に一発カマしてやりたいとマユレリカが思ったのは言うまでもない。


「な、なんて禁断の手を……」

「やはり話のわかる方が相手だと何事もスムーズだな。皇族様々だ」

「ふ、不敬ですわよ!!」

「なあに、心配するなマユレリカ。ヴァニタスは寛大かんだいな男のコだ。似せるといっても少〜し、ほんの少しばかり本人から遠ざければ大丈夫だろう。それに儲け分はキッチリ渡せば問題はない」

「いやですわ〜〜、絶対無理ですわよ〜〜」 

「その代わり……そのなんだ。まゆゆ人形があるだろう? あれの悪逆皇帝バージョンは用意してくれるな? 勿論店売りのやつは手持ちサイズなのは承知しているが、等身大で人数分だぞ。な、いいよな?」

「ああ〜〜、何故こんなことになりますの〜〜〜〜!」


 天下のルアンドール帝国第四皇女を相手に、マユレリカに逆らうという選択肢はなかった。







「まゆゆーー! 負けるな――――!! あんないじわるそうな子なんてコテンパンにしちゃえーー!!」


 子供たちにまぎれ、夢中になってまゆゆに声援を送るアラケル。

 彼女は悪逆皇帝が僕をモデルに作られたキャラクターと認識出来ていなかった。


 無理もない。

 あれは僕がモデルとはいえよく似せた者を使った偽者だ。


 体格や顔立ちが似た者を選出し、髪や瞳の色は魔法薬で染めた。

 しかし、顔を良く見通せないようにした服装といい、髪型も変えて、さらには化粧もしているため、多少見比べた程度ではわからない。


 というかあっちの方が僕より背が微妙に高いし何より……性別が違うしな。


 当初は変身魔法の使い手で何とかするつもりつもりだったのだが、思いの外似た人物が早期に見つかったため今回は魔法での変装はしていない。

 変身魔法と聞いて出番があると思ったのか、アシュバーン先生はがっかりしていたが。

 

「……ま、魔法少女……自分がモデルとなると少し恥ずかしいですね」


 悪逆皇帝同様、くりすとひるでも別人が演じている。

 しかし、流石のクリスティナも自分に似た人物の大立ち回りに、気恥ずかしさからか顔を真っ赤に染めていた。

 

 そもそも何故僕がクリスティナたちをモデルにしたキャラクターに許可を出したのか。

 リバロはともかくらラゼリアたっての願いというのもあるが、プリティマユレリカで売られていたとある商品が問題だった。


 ――――魔法少女まゆゆ


 関節こそ動かないが表情から仕草の切り取り方まで精巧な作りのこの人形。

 僕が気づいた時にはすでにプリティマユレリカの人気商品の一つになっていたアレ。


 ……マズいだろ。


 この世界でこんな特定の人物を精巧にかたどった人形なんて見たことないぞ。


 彫像や絵画はある。

 だが、高額とはいえ一般市民が簡単に手に入れられる手持ちサイズの人形など僕の知る限りでは存在しない。


 ……リバロ、お前転生者か?


 一応問い詰めはしたが本人は自分で考えた末に出した結論と言い張っていた。


 ともかく、これが商魂の成せる技なのか、いまはまだ限られた者にしか噂になっていないからいいものの、いずれもっと流通するようになれば真似をしようとする者は必ず現れるだろう。


 となると劣悪な人形が出回ることになるのは明白。


 まゆゆから派生して他の人物に目を向けた時、クリスティナたちが標的にならないとは言い切れない。

 ハベルメシアなんて元宮廷魔法師なうえに容姿だけはいいからな。

 人形のモデルとしてなら悪くないだろう。


 であるなら毒を喰らわば皿まで、先に正規のものを流通させ、せめて儲けだけでも確保するべきだ。


 はぁ……何故僕たちがこんな余計なことに関わることになるのか。

 まあマユレリカには販売数を絞らせて様子見をしているが、目立った混乱もなく売れ行きも評判も相当良いらしい。


 ……これ以上は考えても無駄だな。


「――――悪逆皇帝!」

「魔法少女まゆゆ、お前にもう勝ち目はない。我が軍門に下れ。なに、お前もコイツらのように可愛がってやるぞ」


 クリスティナに似た青と黒の甲冑姿の元魔法少女くりすが悪逆皇帝へとしだれかかる。

 彼女の細い体を引き寄せ密着するさまに、まゆゆは頬を赤らめる。


「な、な、なんてことを……! 魔法少女くりす……生真面目な貴女がそんな男に……」

「まゆゆ、私は真の主を得て安息を得ました。貴女にも是非この気持ちを味わって欲しいのです。私たちの仲間になりませんか?」

「まゆゆ、主、大事!」

「魔法少女ひるでまで。純粋無垢な彼女を毒牙にかけようとはなんてゲスな……」

「さて、そろそろ決着といこうか。くりす、ひるで」

「はい」「戦う!」


 悪逆皇帝の合図に臨戦態勢を取るくりすとひるで。

 すでに心まで敵となってしまったと、まゆゆは顔をしかめるが、その間も二人はジリジリと距離を詰める。


 しかし、決着は先延ばしにされた。

 ステージ上空から降り立つ者がいる。


「――――お待ちなさい」

「お前は……」

「い、戦女神様!」


 まゆゆを背に守るように現れたのは純白の衣を纏った長身の筋肉質な女性。

 桃色の長い髪をふわりとなびかせ、祈るような姿で顕現する。


 ……まあ、単純に上から降ってきただけなんだが。


「貴様は……戦女神。いいところに。我らの邪魔をするつもりか」

「悪逆皇帝……ええ、魔法少女まゆゆは人々の希望。私では盾になることすら困難でしょうが……この身が砕けてでも守ってみせます」


 睨み合う悪逆皇帝と戦女神。


 因みにあの戦女神――――ラゼリアは本物だ。

 彼女の代わりの役者も用意してはいたのだが……『自分の役は自分でやる!』といって強引にステージに上がっていた。


 おい、こっちをチラチラ見るな。


「ん、ゴホンッ、まゆゆ、貴女はこんなところでは負けません。負けてはいけないのです」

「ですが、わたくしの力では……」


 というかマユレリカは演技が板につきすぎだろう。

 これまで一回も噛んでいないうえに、演技が迫真すぎて観客は夢中になっているぞ。


 とても嫌嫌いやいやまゆゆをやっていた人物には見えない。


「チッ、くりす、ひるで、戦女神ごと仕留めてやれ!」

「ぐっ……」

「戦女神様!」


 黒く染まった水晶の剣で斬りかかるくりす。

 さらには水晶の腕輪を嵌めた拳で殴り掛かるひるで。


 祈りの姿のままの戦女神は真正面から二人を迎え立つ。


「ッ!? 不可視の壁!?」

「硬い!」


 なお、くりすたちの攻撃を防いだ不可視の壁は、舞台裏の魔法使いたちの風魔法による演出であり、実際は簡単に通り抜けられるところを演技で阻まれたように見せている。

 ……役者というのはすごいな。


「私のことはいいのです。それよりまゆゆ、何故膝をついているのです。そんな時間はありませんよ。もう一度立ち上がり戦うのです」

「で、でも、わたくしでは…………勝てません」

「…………」

「相手はあの悪逆皇帝に元魔法少女の二人。彼女たちの実力をわたくしはよく知っています。わたくし一人では……勝てない」


 激しい攻撃の最中、自分の無力さに打ちひしがれるまゆゆ。

 しかし、ラゼリア戦女神は彼女の手を取り、そっと立ち上がらせる。


「……まゆゆ、貴女は人々の希望。何より貴女には大いなる"愛”がある」

「愛……?」

「ええ、あまねくすべてを包み込む愛が。だからこそ貴女は魔法少女に選ばれたのです」

「………」

「立ち上がりなさい。立って戦うのです。悲しい顔など貴女には似合わない。何よりくりすとひるで仲間たちをあのままにして良いのですか? 助けたいと願っているのではないのですか?」

「……助けたい。助けたいです、戦女神様!」

「なら戦うのです! 自分の力が足りないと嘆くのはすべてをぶつけてからでも遅くはない!

何より、貴女はすべての“愛"を出し切っていない!」

「!?」

「さあ、魔法少女まゆゆ! 立って戦うのです!」

「……はい! わたくしは負けません! たとえ相手がどれほど強大でも! 愛を持って敵を打つ! ――――まゆゆエレガントビーム!!!!」


 戦女神に励まされまゆゆの握る水晶杖ステッキの先端から迸るのは黒き宵闇よいやみの奔流。

 非殺傷の独自魔法は、途中で割り込んだくりすの水魔法に防がれたものの、辺りに轟音を撒き散らす。


「……魔法少女まゆゆ。これほどの力を隠し持っていたとはな。……戦女神まで出てきたのではここは引くしかないか。行くぞ、くりす、ひるで」


 まゆゆの強力な魔法を前に円を描く光のゲートへと撤退する悪逆皇帝。

 その後ろをくりすとひるでが追う。


「ああ、二人共! お待ちなさい! まだ勝負は……!」

「待つのは貴女です。魔法少女まゆゆ。残念ながらいまの貴女ではあの極悪非道な悪逆皇帝を相手にするにはまだまだ力が足りません」

「戦女神様……しかし……!」

「力を、力をつけるのです。いまの力をいつでも引き出せるようにすれば、いずれは彼らにも勝利出来る日が訪れるでしょう。くりすとひるでも解放出来るはずです。か弱い私では応援することしか出来ませんが、貴女なら……必ず成し遂げられます」

「…………はい」

「信じていますよ、魔法少女まゆゆ。貴女の未来に愛の多からんことを」







「ヴァニ兄! すごいね、すごいすごいすごい! 魔法少女まゆゆーー!! 応援してるよーー!!」

「「「ま・ゆ・ゆ! ま・ゆ・ゆ! ま・ゆ・ゆ!」」」


 ステージは終わり、拍手と喝采で会場は埋め尽くされる。

 だが、声援の影で唯一嘆く者がいた。


「ぐ〜〜、こんなのってないですわ〜〜! 何故わたくしばかりこんな目に〜〜〜〜!!」


 マユレリカの悲しげな咆哮は誰にも聞き届けられることはなかった。











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