第5話 心配してくれる行春

「おつかれさまですー練習終わりましたー」


りょーはそう言うと挨拶をした。


「さっきの歌声いつもと違うけどどうした?」


薔薇バラのボーカル南野みなみの行春ゆきはるが長い黒髪をかきあげながらそう言った。


「俺らは今日からガールズバンドになることにしたからー」


「え??」


思わず固まってしまう行春。


「どうしたー?」


「あのさ…ガールズバンドって男なんだからなれる訳ないじゃん?」


「ちゃんとガールズするから大丈夫だー、」


りょーはそう言うとドアの方へと向かっていく。


「いや、ちょっと待て、帰るな」


行春はりょーの手をグッと掴んだ。


「なんだよー」


「本当に大丈夫なのか?お前らのことがすげー心配だ」


行春顔が近いぞー


「大丈夫だー心配するなー」


さっきから顔近いって

1歩間違ったらキス出来るぐらいの距離だぞー


「バカばっかのバンドだから心配するんだよ、ファン欲しいのはわかるけどさ」


「さっきから顔近いんだけどー」


限界を迎え口に出してしまった。


「ごめん」


行春が離れた。

この隙に…


「じゃーまたなー」


「え!?おい待てよ」


行春はりょーの手を掴み損ねてしまった。

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