第86話 MPK
直ぐ様、八木から2つの魔物情報。
→【ブラックレオパルド:闇に紛れての奇襲を得意とする豹の魔物、素早さは上級ランクの冒険者でも警戒するほど。攻撃は闇魔法による素早さへのバットステータス攻撃、爪のスラッシュ。弱点、光系、延髄の魔石】
それをまず、脳内で伝える。
それを受け、カットレイは指揮官の新たに取得したスキル「並列思考」をONにし、黒豹を抑え込みながら、考えをまとめ皆に伝える。
「黒豹は素早さドSや。爪攻撃でスラッシュもあるで。後厄介なのは闇魔法での敏捷デバフや。ベンジーはん可能な限りに素早さのバフを頼むわ。 弱点は光系なんやけど、ワシ等はそんなかっこええ属性あらへんねん。各々延髄の魔石狙ったってや~。」
「わかったがね。少しまっとりゃ~。♪ハヤブサの輪舞だでね!」
ベンジーの持つ小さな弦楽器から、2小節程度の音が流れPTを組んでいる「みたらし団子」の面々に敏捷上昇バフがかかる。仕組みは謎だ。
併せて、「ばあちゃん。光魔法が誰もできんそーだで、頼んでええ?」
と、マリダ婆さんに向かって言う。
「はいよ。任せてね。ホーリーチャージほい!」
白い光の矢が天から落ち、カットレイが抑えていた黒豹の首元に落ちる。
・・・一撃
その瞬間。ローズヒップに抑えられている黒豹が闇魔法を口から吐き「三つ葉」の面々はそれをくらう。
少しヤバいか?と丈二が土魔法で援護しようと思うのだが、それを意にも返さずセイバーのライティアの剣が光り、そのまま黒豹の首を落とす。
「うわぁ豪快……。」
と、その前に、ベンジーがマリダ婆さんのことを。ん?まぁ後でいいか。
◇
残る黒豹は1匹なのだが……。
→【ブラックオッドコブラ:暗闇に潜む猛毒の蛇、熱感知による回避能力と体を伸縮させて行う攻撃時のスピードが爆発的に高い。猛毒の噛みつき。陰から影へ移動する影走り。弱点:光系統、頭のコア】
『カットレイ。後の3匹なんだが、ブラックオッドコブラ。オッドで猛毒だわ。トラウマー。』
カットレイに敵の特徴を伝え、彼女が特徴を皆に伝える。
丈二は、気配遮断でアビーの痺れ薬でもがいている黒豹に近づき、棍を延髄に叩き下ろす。
きゃいんと鳴いたその口に、体を半回転させ、遠心力を乗せた棍先を叩き込み、そこから、反対の先をすくい上げ、黒豹がかるく浮いたところに、ミッツの重量級斧が振り下ろされて、それの首が飛ぶ。
だが、黒コブラの一匹が草むらから、凄まじい勢いで飛び出して、ミッツの肩に噛みつく。
「ぐあっ。」
よろめくミッツの顔が既に青白い。
こいつの毒、相当回るの早いなと思いながらアビーを見ると、既に解毒薬を用意している。
「流石、僕の夢を叶える助手1号♪」
と、丈二はにやけながら、ミッツの肩に噛みついている黒コブラの脳天を棍で叩き落し、止めを刺そうとするも、黒コブラは影に消える。
気配感知で気配を追っているので、影走りで移動している位置を特定できてはいるが、物理攻撃では対処出来なそうだ。
「本当にこいつも厄介だな。とりまアビーちゃん薬をミッツに。それでもってっ!」
と、土魔法で移動している黒コブラを影ごと攻撃しようとした瞬間!
―――ディティクライト
ベンジーが光魔法を唱え、黒コブラが影から上に吹っ飛ぶ。
「予想の範囲内なら対応が可能だでね。止めは任せるわ。」
そう言いながら、光魔法セイントヒールをミッツに掛け、ハヤブサの輪舞を掛け直す。
「連続で詠唱して光魔法をかけてるのに、バフ魔法を同時にって凄くない?」
ミッツに解毒薬を飲ませながら、アビーが目を丸くしてベンジーに言う。
「あー。魔法ディレイ無視って固有スキルなんだわぁ。そいで「歌」は魔法じゃないでね?」
「ほぇーそうなんだ。」
「おお。これはなかなか逸材だなっと!」
丈二とサニーで黒コブラに止めを刺す。
――残り二匹は?
ちっ。近衛兵のひとりが噛まれてるな。ラスルトの右腕のエルビスが足を引っ張ったようだが、あちらを助けるか。もう一方は三つ葉が何とでもしそうだ。
と、丈二が領主側の面々を助けようと思ったとき――。
気配感知にふたつのマーキングが点る。
今度は、左と右前方か。
『おい。左と右前方からも魔物連れて来そうだぞ。』
『恐らく、左は4匹だけど右前方は10匹近いよー。じょっちゃん!追っ手をそろそろ叩いたほうがいい。切りがないぞ?』
『了解。俺、右前方の叩いてくるわ。八木ケレ指示任せる。』
『『らじゃっす』』
「どうやら、この戦いで左と右前からも魔物が来そうです。少し数多いかもです。」
追加が来ることを共有する。
「めんどくさいなあ!もう。メリハリありすぎぃー!」
ローズヒップが、黒コブラの頭を盾で潰しながら言う。
「領主・神殿陣営を中心に固まって円陣形を。暁丈二は従魔とで遊撃してくれ。」
『組合長指示ナイス。』
組合長の指示に併せ、皆が動く。
三つ葉の面々が領主側の黒コブラの援護に向かい、アビーが解毒薬を処方する。
その流れに合わせて、丈二が気配を断ちサニーに乗り、右前方へ走り出した。
「さて、追撃者さんのお顔を拝見しようか。」
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