007 さらなる一歩を踏み出すために
「ひとつめはオルベイン様が現在の機体に装着する前に使ってた外付け式の加速ブースターユニットだね」
「コイツは太ももの左右に付けるタイプか。結構ゴッツいね」
ルッタの言葉にアマナイが頷く。
「そうだね。こいつはバレット式採用だから量産機でも扱えるけど、重量はそこそこあってコスト面でも圧迫するから乗せられるバックパックウェポンが限られてしまうっていう問題もあるんだ」
「まあ、それなりにデカいしそうなるよね」
現在のブルーバレットのバックパックウェポンはガトリングガンなので必要コストは気にする必要はないが、重量がこれ以上積み増しになるのは厳しい。
(重量的にはガトリングガンを外せばいける……かな? ショルダーカノンを付けられるかは確認が必要か。難しいところだなぁ)
そうルッタが考えている横で、アマナイが続けて真ん中のパーツを指差した。こちらはイロンデルタイプベースの脚部であった。もっとも形状はイロンデルタイプよりも複雑で厚みがあり、高出力型と思われる特徴を有していた。
「ふたつめはコイツね。脚部内蔵型。オルベイン様の機体ガヴォークの予備パーツで、さっきの外付け式よりも若干性能は落ちるけど、内蔵にしているから重量はそこまででもない。量産型に取り付けるためのマウントアダプターもうちじゃ扱ってるからね。取り付け自体は可能だよ」
「うーん。出力も片足ずつなら使えなくもない……けど」
オルベイン機のように両脚からブースターを噴かせての急加速は出力的に無理だが、片方ずつ使うことは可能だろう。それだけでもルッタの目的にはそう性能はありそうだが……
「問題は無理に繋げることで機体の負荷がマシマシになることか」
銀鮫団のヴァイザーが量産機と高出力型のパーツを合わせて使っていたが、出力比の違うパーツの組み合わせは機体に毒のように負荷を蓄積させ続けて、損耗率を高めてしまう。ヴァイザーも機体の負荷を嫌って普段使い用の量産機を用意していたほどだ。
(どちらも現状のブルーバレットにそのまま乗せるのには問題があるな)
「難しい顔をしているね。じゃあ最後はアレだよ」
「うん。こいつは一本のブースター? なんだか尻尾みたいだね」
ルッタがそう評した通り、長細い形状をしたソレは爬虫類の尾のようにも見えるブースターだった。
「こいつは前のふたつとは違って単発式のブースターになる。その分バランスを取るのが難しくて玄人向け。まあ、オルベイン様も盛大にスッコケて使うのを諦めたシロモノだよ」
「へぇ。出力は……量産機でもいけそう?」
「問題はないね。ただ瞬間出力はあるけど継続時間はかなり短いのも欠点かな。まあ、だから量産機でも取り付けやすいんだけど」
「なるほど」
(必要なのはチェーンソーを振るう際の瞬間加速だから、発動時間は短くても問題はないんだよね。扱い辛さは慣らしていくとして……となれば、本命はこいつになるか)
自分の用途に合致したパーツを見つけてルッタが頷く。
「みっつの中じゃあ最後のが一番反応が良いみたいだね」
「うん。こいつが一番俺が欲しい性能にマッチしてると思う。ただねぇ」
ルッタが眉をひそめながらこう口にした。
「ビジュアル的に……ますますドラゴンっぽくなるなブルーバレット」
このパーツが追加されれば、機体に尻尾がついたような外見になるだろう。
「確かに。でもアレって狙ってやってるんじゃないの?」
「俺は関係ないよ。コーシローさんの趣味だねー」
「あー、なるほど。彼。そういうところあるものね」
コーシローはリアルロボ、スーパーロボット、ファンタジーロボ、パワードスーツ系等等、ロボットなら見境なく愛でることができる雑食系であったが、中でも胸部に動物頭パーツを付けることにこだわりを持つ勇者系ロボフリークであった。
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加速パーツ追加は当初から予定していて、本来はナッシュ機のノーバックの脚部をテキトーな理由をつけて剥ぎ取る予定でした。アレは量産機仕様なので無理なくブルーバレットにも使える良いものです。
結局は引退を決めて独り立ちしようとしているナッシュから奪い取るのはかわいそうだったので諦めて、ここで手に入れる形となりました。良かったねナッシュ。
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