四、別れ

 最近の私はモテる。彼と付き合って、服装や髪型などに気を遣って、過ごしていたからかもしれない。


 街を歩くと、よくナンパされる。彼氏は居るがナンパされて、悪い気はしない。

「すみません、彼氏いるんで」

 精一杯の冷たい声で風を切りながらその場を去っていく。

 いつもなら冷たい声を出すことなんざ簡単な事だ。でも今日難しい。

 

 彼といつものバーでデートする日だ。待ち合わせに着いたら所で彼からメールが届く。急用が出来たそうだ。つまり、今日のデートは無し。

 最近こんな事ばかりだ、この前も、その前の前も、私の事が嫌になったのだろうか。そりゃそうか、私は病気なのだから。彼はいつも結婚したら、とか子供はとか、老後は、とか。私とは結婚無理だよね。そう思うと涙が溢れそうになる。


 彼は本当に良い人で仕事は建築のデザインする人で、家族は父が一人、好き嫌いはないから何でも食べれるけど、好きなものもないこと。


 本当に愛している。


 彼にメールを送る。

 

「別れよう。」




 

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