第42話 頭に「れ」のつく映画といえば?

 ネットで顔の見えない相手とやり取りをして、いざ実際に会うことになり、互いの顔を知る流れになったとしたら……。

 普段のアバターとは異なるイヤな面を見て失望するか、予想以上に素敵な人物で好意を抱くか。

 ……そして、相手は「こちら」に対して、どんな感想を持つのか。


 実際に会ってみなければ、悩んでも仕方がありませんが、相手が「闇サイト」みたいなダークな世界で、こちらを犯罪に巻き込もうとしているのであれば、それは注意が必要です。


 そんな流れで。


 頭に「れ」のつく映画、「レインディア・ゲーム」を紹介します。


 原題は「Reindeer Games」。「レインディア」は「トナカイ」の意味です。


 2000年のアメリカ映画。監督はジョン・フランケンハイマー、出演はベン・アフレック、ゲイリー・シニーズ、シャーリーズ・セロン、ジェームズ・フレイン、デニス・ファリーナ、ダニー・トレホほか。


 クリスマスも近い、冬の日。


 出所したばかりのルーディは、刑務所の門の前で、キレイな女性・アシュリーを見かけます。


 刑務所で同房だった親友のニックは、アシュリーという女性と文通していたのですが、ニックが壁に貼っていたアシュリーの写真を見るうちに、ルーディも密かに彼女に恋していました。


 ルーディは、出来心から「自分が文通相手のニックだ」と偽って、刑務所前で待っていた写真の女性・アシュリーに接近しました。

 文通だったので、アシュリーはニックの顔を知らないのです。


 ニックは、刑務所の暴動に巻き込まれ、ナイフで刺されて死んでいました。本人が現れることはありません。


 ルーディは、ニックになりすましたまま、アシュリーと親しくなっていくのですが……。


 突然、アシュリーの兄・ガブリエルが現れて、事態は急変します。


 銃の密売など犯罪行為に手を染めているガブリエルは、カジノを襲撃する計画を立てていました。

 妹のアシュリーから、文通相手のニックが元はカジノの従業員で、内部に詳しいと聞いて、ニックを計画に巻き込もうと考えていたのです。

 

 怯えたルーディは「俺はニックじゃないんだ、本当はルーディっていうんだ」と別人であることを明かしても、「逃げたいから嘘をついているんだろう、観念してカジノの非常口へ案内しろ」と銃を突き付けられます。

 このまま突っぱねていると、殺されかねません。仕方なく、ニックのフリを続けることになりました。


 彼らの目を盗んであの手この手で逃亡を図るルーディですが、通報しようとしても実はその相手もガブリエルとグルだったりして、どうしても逃げ切れません。


 暴力的な兄・ガブリエルに脅され、美人な妹・アシュリーは怯えながらニック(ルーディですけど)を巻き込まざるを得なかった……そうであれば、彼女と力を合わせれば逃亡のチャンスがあるかも?と様子をうかがいながら犯罪計画に加担するルーディ。

 ですがある時、ガブリエルとアシュリーが愛の言葉を囁きながら、熱いキスを交わしている姿を見てしまいます。


 二人は兄妹ではなく、実は恋人同士で、ニック(ルーディですけど)の前で「兄に怯える妹」を演出して、協力させようという魂胆だったのです。 


 カジノの下見を終えて、彼らはサンタクロースの仮装をして、銃を持ち、カジノを襲うことになるのですが……ルーディは、裏で動いていた別の計画の、思いもよらぬ黒幕を知らされることになるのです。


 騙し、騙され、二転三転する、クライムサスペンスです。


 死んだ相棒になりすまして、美人な文通相手を頂いちゃおう!と欲を出したら、その美人の身内から犯罪計画に巻き込まれ、なりすましがバレたら殺されるので相棒のフリを続けるしかない!という“巻き込まれ型”サスペンスなのですが、一筋縄ではいかないストーリー。最後までハラハラドキドキが続きます。


 ラストまで見て、冒頭を見返すと「あー……」と納得できる伏線が、露骨に張ってあります。ぜひ、再鑑賞を。


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