第40話 頭に「り」のつく映画といえば?
本当は自分には秘めた才能があって、何かのキッカケでそれが開花して、一気に勝ち組人生を……という妄想をしたことがあります。
何かの本で読みましたが、文章なり音楽なり絵画なり、芸術方面で世間に認められるほどの才能を発揮するには、「三つの才能」が必要だそうです。
「芸術的な才能」そのものと、「自分をプロデュースする才能」、そして「同じ分野で同時代に飛びぬけた才能の相手とぶつからない“幸運”を掴む才能」だそうです。
そんな細かいことを飛び越えて、自分の能力を爆発的に底上げしてくれるアイテムがあればなあ……そんな甘い考えを抱いている人に、オススメの作品。
頭に「り」のつく映画。
「リミットレス」を紹介します。
原題は「Limitless」。
2011年のアメリカ映画。監督はニール・バーガー、出演はブラッドリー・クーパー、ロバート・デ・ニーロ、アビー・コーニッシュほか。
ニューヨークに住む、売れない作家のエディ。
恋人のリンディに別れを告げられて、そのショックを引きずり、新作もなかなか執筆できません。
ある日、知人のヴァーノンと、街中で数年ぶりに再会しました。
ヴァーノンは、エディの元カノ・メリッサの弟で、ドラッグの売人をしています。
今カノと別れて小説も書けないしサイアクだよ、と悩みを話すと、ヴァーノンは「
アイドルグループみたいな名前のドラッグやな。
普段は20%しか使われていない脳の、潜在能力を目覚めさせて100%フル活用させるという、見た目は普通の錠剤のようなそのドラッグを、エディは試しに服用してみました。
効果は抜群。
頭が冴えまくり、エディは一晩で本一冊分の小説を書き上げてしまいました。
それどころか、脳の記憶の残骸や、視界に入るすべての細かい情報を組み立てて、思考を一瞬で整理し、何事にも天才的な才能を発揮します。
このクスリさえあれば、人間の能力を
ですが、一晩眠ると、薬の効果は切れており、さらなる「NZT-48」を求めてヴァーノンの部屋を訪れます。
部屋では……ヴァーノンが何者かに殺され、死体となっていました!
こそこそと、ヴァーノンの部屋に隠してあった「NZT-48」の袋を持ち逃げしたあとで、匿名でエディは警察に通報しました。
その後、「NZT-48」を使ったエディは、冴えた頭で複数の語学を短期間で修得、様々な本を読み、ネットで世界中の企業の株価の上下を観察し、パターンのアルゴリズムを割り出し、株を始めてから三日で大富豪になりました。
その噂は、金融業界にも広まり、有名人になります。
企業の大物、カールから「会って話をしたい」と持ちかけられます。
エディは、カールとの会話の内容から、合併について悩んでいることを察知し、その相談に乗るうちに、カールから信用され、企業経営コンサルタントの契約をしました。
順調な人生かと思いきや、この頃からエディの体調に変化が起き始めます。
クスリの副作用のせいなのか、時折訪れる猛烈な頭痛、嘔吐、そして記憶の欠落。
元カノのメリッサと再会すると、彼女はやつれ、病人のような外見になっていました。
「弟のヴァーノンがやっていたNZT-48を私も服用していたんだけど、幸せは短い時間しか続かない。そのあとは死ぬか、副作用で苦しむだけ」
と教えられます。実際、メリッサは副作用でひどく苦しそうでした。
怖くなったエディは、クスリ抜きの生活を始めます。
しかし、クスリの効果ナシでカールに会っても、頭が回りません。スラスラと言葉が出て来ずに、話が途切れてばかり。
カールから呆れられて「調子が悪いようだな。体調が治ったらまた会おう」と言われてしまいました。
さらには、株を買う時に元手のために借りた高利貸しの男が、「NZT-48」の価値に気付いて、脅してきたり、クスリの商売の背後にいると思われる組織の男から、命を狙われます……手持ちの「NZT-48」は、残り1粒しかないのです……というSFサスペンスです。
クスリを飲むと、青っぽい世界がギューンとオレンジ色に変わり、魚眼レンズを使ったような特殊な画面構成に変化する演出が印象に残ります。
監督のニール・バーガーは、元々CMクリエイター畑で活躍していた人で、映える演出のプロフェッショナルです。
2015年には、「映画の“その後”を描いた」テレビドラマシリーズも製作されています。
そちらを先に見てしまうと、映画のネタバレになるので、映画を観てからドラマ、という順番で見ましょう。
私は失敗して、ドラマから映画、と逆の順番で見たので、映画版のラストでエディがどうなるのか、先に知ってしまいました。残念。
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