第5話 頭に「お」のつく映画といえば?

 学生時代、いろんな先生がいたと思いますが、「一番怖い先生」の思い出ってありますか?


 これから紹介する映画には、その先生を上回る怖さの先生が登場するはずです。


 頭に「お」のつく映画、「鬼教師ミセス・ティングル」を紹介します。


 原題は「Teaching Mrs. Tingle」。


 1999年のアメリカ映画。監督・脚本はケヴィン・ウィリアムソン、出演はヘレン・ミレン、ケイティ・ホームズ、バリー・ワトソン、マリサ・カフランほか。


 あらすじはこんな感じ。


 高校に通う真面目な優等生、リー・アンは、ハーバード大学に進学して、今自分が住む郊外の小さな町から出るのが目標。


 家が貧しいリー・アンがその目標を叶えるためには、高校で良い成績を修めて、奨学金を受け取る以外に方法がないのです。

 (父は死去、唯一の保護者の母は、トレーラーハウスで飲んだくれてます)


 しかし……そんな彼女の前に、こわーいおばちゃん先生、陰湿な女教師ミセス・ティングルが立ちはだかります。


 ティングル先生によって、リー・アンは不当に低い成績をつけられ、しかも誤解からテスト問題盗難の疑いまでかけられてしまいます。


 リー・アンの友人のジョー・リン、イケメンのクラスメイトのルークは、疑いを晴らすべく、ティングル先生の家へ正当性を訴えに行きます。

 ところが、ティングル先生は一切耳を貸そうとしないどころか、挑発的な言葉をぶつけて追い払おうとしました。


 これにキレたルークは、ティングル先生の家に置いてあったクロスボウを手に取り、あろうことかティングル先生を脅し始めました。

 しかも、クロスボウの矢が暴発。それに驚いたティングル先生は転倒して頭を打ち、気を失ってしまいます。


 リー・アン、ジョー・リン、ルークの3人は、「起きたら絶対怒られる!」と、この事態を収束するために、ティングル先生をベッドに縛りつけます。

 だが、ティングル先生の家に訪問者がやって来て、どうやってごまかすか……。


「スクリーム」「ラストサマー」「パラサイト」の脚本家、ケヴィン・ウィリアムソンの初監督作品。

(意外にも、他の作品群よりも脚本を書いたのはこの作品が一番先で、映画会社に脚本を売却していたんですが製作が遅れたのだそうです。インタビューで言ってました)


 カテゴリは「青春ブラックコメディ」となってはいますが、ヘレン・ミレン演じるティングル先生が本当にジワジワと怖いんスよこの作品!


 悪知恵の回る厄介なオトナの側面を見せ、自分はベッドに縛られたまま、「言葉」でティーンズの若者を巧みに操ります。


 ルークに思いを寄せるジョー・リンには、


「リー・アンとルークは、あなたに隠れて付き合ってるわ。いつか裏切られる前に、自分から裏切りなさい。私を助けて」


 と唆します。


 ルークからは、リラックスしたお喋りで、


「リー・アンに告白したけど断られたことがある」


 という過去を聞き出しました。


 その上でリー・アンには、


「ルークはまだあなたに気があるわ、ジョー・リンとの友情よりも、素直な愛情を優先させてもいいんじゃないの」


 と焚きつけ、リー・アンとルークのふたりにエッチなムードを醸し出させたうえで、それをジョー・リンに目撃させて、仲間割れを引き起こし、ジョー・リンを味方につける、「敵チームの内部崩壊」を狙う策士なティングル先生!


 余談ですが、ケイティ・”ホームズ”が演じる役名がリー・アン・”ワトソン”……ひとりでホームズとワトソンか。

 ルークを演じる共演者のバリー・ワトソンもワトソンさんなのでややこしいなー。

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