第11話 王子様との愛の壁は、高い。ここで、王子様の訓練裏話。こうして、王子様にも痛みを知ってもらうんですね!

 王子様との愛を、深めるために…。

 さあ、レッスン。

 王子様を、壁をよけられるようなレベルに成長させられるかな?

「アスカちゃん?どうしたら、犬は、自分自身が危険を感じなければそれで良いというわけじゃないって理解できるようになるんですか?」

「ああ、それはね…」

すぐに、教えてもらえた。

 たしかに、疑問になる。

「どうやれば、ご主人様の痛みを感じさせないようにって、人間目線でも理解させられる?」

 疑問も、疑問。

 王子様は、ご主人様とは目線の高さがちがう。

 ご主人様とちがう痛みを、どうすれば理解させられる?

「ハナおねえさん?」

「はい、はい」

「わたしのいえのにわに、木があります」

「はい」

「わたしのおねえちゃんが、その木のえだに、ぼうをわたしてくれました」

「はい」

「そこに、わたしがちかづいて、わざと、あたまをぶつけてみせました」

「はい」

「そしてわたしは、いったーいって、大きくさけびました」

「あらら」

 泣き真似をしながら、姉に、彼女の頭にぶつかった棒を犬の上に落としてもらったという。

 すると…?

 犬もまた、棒にぶつかってしまった感じになる。

 痛みの分かち合いで、犬も、人間と同じレベルで痛みを知ることができるようになるんだとか。

 次!

「いたいよー!」

 大きく叫んで倒れ込んだ彼女が、うそ泣き。

 これで、その様子を見た犬は恐れる。

「ご主人様が…!人間が、ここまで痛がっている!フツーの痛みじゃないぞ」

 犬は、こうして、自分の頭の上にも危険があると学ぶのだ。

「そうかあ…。アスカちゃん?わざと失敗することで、本当のことを発見させるんだね」

「そう」

「学校教育と、真逆だ…」

 日本の今の教育は、弱い。

今どき教育は、安全志向だからねえ。

 痛みがない。

 どうしたら失敗しなくてすむのかのテクニックばかり、教えすぎ。

「まちがえても良いから、あなたの考える通りに、やってみなさい!」

 日本でも、そういう教育ができたらステキなのにね。

「空気を読む」

 その言葉も、消極さを作っていないかな?

 話を、戻そう。

 盲導犬の訓練では、わざとらしさの痛みが大切。

「おうじさま?うんちばかりしていないで!」

 町には、たくさんの危険がひそんでいる。





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