第10話 やるね~!王子様のうんちは、こうやって包んであげるのがベストらしい(変な意味じゃなくて)。そうして、痛みの理解を!
王子様のうんちケアには、コツが必要。
そうか、そうなんだ。
王子様のうんちをつかんだままで、ビニール袋を裏返す。こうすることで、手も汚さずに処分できるようになるんだね。
「ハナおねえさん?」
「ああ、はい」
「つかんだらね?」
「ああ。はい」
「ふくろの口を、キュって、むすびます」
「おお」
「これで、おわりです」
「やったね!」
「おうじさまのせわは、めんどうです」
「お疲れさまです」
「えへへ」
「…そうそう、アスカちゃん?」
「なあに?」
「今日は、この子ども食堂まで、 1人で、きたの?」
「ううん。 2人で、いっしょだよ?」
左側に寄りそっていた盲導犬、彼女の王子様を、一層なでなで。
「そうね。 2人でしたね」
「わたしには、おうじさまのほかにも、あねがいます」
「あら」
「たぶん、今ころは、いえで、ポテトチップスとかたべているとおもいます」
うわ!
彼女は、小学生なのに大人な感じ!
「あね」だって!
他人の前で、「私のお母さんはあ…」とかっていう言い方をする人が多くなったのに。
本当は、そういう言い方、はずかしいんだよ?
今どきは、大学生や社会人まで、言うようになったけど。
ただ、彼女は小学生。
小学生なら、「わたしのおねえちゃんが」という言い方でも良い。だから、「そこは、おねえちゃんって言っても良いんだよ」と、教えてあげることにした。
「へえ、そうなんだ。ありがとう、ハナおねえさん?」
安心顔の、彼女。
いろいろと、緊張して生きているんだろうな。
「わたしの、えっと、おねえちゃんは、ドッグセラピストというしごとを、やっています」
「へえ…」
「もうどう犬っていう犬にも、くわしいんですよ!」
「そうなんですか?」
「わたし、おねえちゃんと、いたみのあたらしいくんれんをやってみました。それ、おしえます」
「痛み練習?」
「あのね?」
「はい」
彼女は言いたいのは、こういうことみたい。
「どうしたら、犬は、自分自身が危険を感じなければそれで良いというわけじゃないんだと理解して、ご主人様を守ることができるようになるのか?」
たしかに、気になる。
目線の高さのちがいで、王子様な盲導犬とご主人様との痛みはちがうはずなのに。
ここで、裏話。
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