第6話 王子様の育成は、ワンツー、ワンツーで。と、簡単に思っていたら痛い話題に。「ペットの犬猫の命の教育」が、変?

「王子様のおしっこやうんちは、ワン・ツー、ワン・ツー!」

 彼女なりの、工夫。

 おしっこをして良いという命令のときにいうおしっこは、ワン。うんちをして良いという命令のときにいううんちは、ツーと、呼ぶことにしたんだとか。

「おうじさまのうんちとおしっこには、くふうが、ひつようなんですよ?」

「すっごい、言い方…」

「ワンツー、ワンツー、アタック~!」

「…今どきの子は、進んでいるなあ」

 ワン・ツーと言われて、許可をもらえた王子様は、彼女の周りをぐるぐる。

身軽になれて、うれしくなっていたんだろうな。

「ハナお姉さん?おつぎは…」

「何でしょう?」

「ひもをたどっていって、おうじさまのせなかに、さわってあげます」

「アスカちゃん?それで、どうするの?」

「おうじさまのきもちを、もっとはっきり、たしかめます」

「…恋愛系?」

「ハナおねえさん?」

「ああ、はい」

「おうじさまのせなかをさわってみて、もしも、せなかがたいらになって、おしりをおろしていたら、おしっこ。せなかが、まるまっていたら、うんちをしたいんだなって…。そう、かんがえることにするんです」

「へえ」

「うんちだったら、しんけんしょうぶ!」

「今度は、何ですか?」

「こんどは、おわりのケアです」

「ターミナルケア?」

 まじめに、福祉の話。

 彼女は、犬やネコにまつわるたくさんの話をしてくれた。

「犬やネコと、命の教育」

 どこでも、聞く言葉。

 でもそれが、心配だという。

 なぜなら…。

 おっと。

 前々から私ももっていた疑問と、同じらしい。

「犬やネコのいのちのきょういくっていうことばは、こまるんですよね?」

「命の教育」が大切なのはたしかなんだろうけれど、おかしな言葉かもしれないという。

 ほら、やっぱり。

「わたし…。おやが、子どもに、犬やネコのいのちはたいせつっておしえることに、ふあんです。それって、ペットを、きょうざいのようにとらえているっていうことだから」

 ほら、同じだ。

 私も、そう思っていたんだから。

 「親が、動物の命を教材と考えてしまっていたら、子どものためには、良い教育にはならないもんねえ…」

 そうです、そうです。

 ここ、大切です!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年12月1日 19:00
2024年12月1日 20:00
2024年12月8日 19:00

王子様のうんち「前編」~盲導犬といっしょの女の子は…犬の裏話つきです~ @maetaka @maetaka1998

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ