第3話 アンバランスな場所を生きていると、たくさんの気持ちまでアンバランスになりかけていき…。おっと、うわさの王子様の登場か?

 福祉の、現実は?

「障がいをかかえる人に、優しくしよう」

「かわいそうな人たち、だもの」

 …そうだろうか?

日本は、アンバランス。

「日本は、かわいそうな国」

 それも、ちがうよ。

 日本では、住むところも食べるところも確保しやすい。

 かわいそうなんかじゃない。

 ああ、アンバランス。

 子ども食堂にやってくる子どもたちを見ると、せつなくなるだろう。

 今の若い世代の子たちは、生きることにあきらめを感じているんじゃないか。私も、そうかも。

「がんばっても報われない世代がいて、一方では、がんばらなくても楽勝人生の世代がいる」

 困ったもんだ。

 若い世代の悪口を言って、ストレス解消をする大人たちがいる。

「若い世代は、やる気がない」

 本当に、そうなのかな?

 明日を信じられて、がんばればがんばるほど見返りがきた世代なら、そうも言える。

 けどさ…。

 若い世代は、ちがうよ。

 もう、疲れているんだ。

「もっと努力しろって、いわれても…」

 かえって、ヘコむ。

「ホッと、一段落つける生活がくれば、良いのになあ…」

 おっと。

 今、一段落という言葉が出た。

 私は、今までずっとこう読んでいた。

「ひとだんらく」

 少し、はずかしい?

本来は、「いちだんらく」って読むんだから。

 ああ、アンバランスな世の中…。

 視覚障がいをかかえる子と盲導犬の物語にいく前に、アンバランスにならないようにしなければ。

「わたしって、しょうがいをかかえているんですよ?」

 その言い方、忘れられず。

 小学生の女の子との出会いに、緊張ばかりです。

「ようこそ。私たちの、子ども食堂へ」

「しょうがいがあっても、いいんですか?ここに、きても」

「もちろんですとも!」

 本人から障がいを告白できるとは、心の強い子。

 この子は、知っていたんだ。

「障がいをもつということは、不便ではあるけれど、かわいそうなことなんかじゃないんだ」って!

 障がいについての話が出たことで、その子の連れていた犬は盲導犬だと、はっきりとわかった。

 あ、犬と目が合った!

「俺の、ご主人様はね?白杖こそ握っていないけれど、物を見るのが不便って、心の中では訴えているんだワン!」

 さては、こいつが王子様?



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