謎の現象
鏡を見た瞬間に俺は何かおかしいと思った。
今まで自分の眼は見た事なかったけど、流石にこれはおかしいと思う。
俺の眼は色が付かず鏡のように景色を反射しているのだ。
「おおぃ、俺赤だぜ!よっしゃぁ!お前は…ってなんだよ、お前…」
伸典と目があった瞬間、鏡に映っていた俺の目は一瞬にして赤色に変化した。
「は?どう言う…」
しかし、不運なことにあいつの眼が赤だと叫んだせいでこちらに目線が向いていたせいで俺の鏡?だった眼を他のクラスメイトに見られてしまったのだ。
「おいあいつの見たか?」
「みたみた、何あれ?鏡みたいだったのに急に色変わったよね?」
その状況に対して俺が何も出来ないでいると急にハナセンこと、花山がこっちに近づいて
来た。
「お前達、今日は帰れ。施設にはこちら側から連絡を入れておく。」
「ちょちょちょ、待てよ、ハナセン!どうゆうことだよ!」
「瀬川、お前の気持ちはよく分かる。だが、少し待ってくれ。お前達!このことは絶対に話したり、広めたりしないように!」
「おい待てよ!お前知ったんだろ!どう言うことか説明しろよ!」
「瀬川、少し黙れ。その行為は、お前の親友を苦しめるだけだ。」
なんか俺だけ蚊帳の外みたいな雰囲気なのなんなんだよ。
だが、そのいつもは違う真面目な雰囲気にふざけていた黒目の奴らも大人しくなり、そそくさとみんな出ていった。
まぁ、先程ハナセンが言ったばかりなのに廊下からすぐに話し声が聞こえたので広まるのは時間の問題だろう。
だか、ハナセンはそのまま俺を無理矢理職員室に連れて行った。
まじでこいつぶん投げてやろうか?
「すまんな、俺もこんな事になるとは思わなかった。お前は取り敢えず家でこいつを持って待っていてくれ。俺が車で送るから。」
そう言って俺は無地の子封筒を渡された。
俺は知っている、これは朝廷が使う専用の切手だ。
俺はハナセンの車に乗せられて荷物の運び込まれた新居へと向かう。
「なんか、俺の目は特殊なんですかね?」
「そうだな、ただ俺は何も分からないというのが現状だ。
普通こんな事はあり得ないはずなんだ、だがそれが起こってしまったと言う事は確実にお前の身体に何かが起こっているんだ。」
街には道を分るようにするための白線以外は殆ど別の色はなく、代わり映えのない景色だった。
無線通信でかけている音楽はやけに陽気なのに、俺達は話そうとしないのでめっちゃ気まずい。
「俺は、一度だけお前のような人間を見たことがある。」
そう、ハナセンは不意に呟いた。
「そいつは、眼は赤色だったが時々お前のように色が無くなることがあったんだ。
そのままそいつは朝廷の役人に連れられて今どこで何をやっているのか全く分からなくなった。」
彼の顔は真剣そのもので、嘘をついているようには見えなかった。
「あいつはおそらく、朝廷にとって不都合な何かだったのだと思う。
あいつはこの世界で生まれてはいけない存在だったのかもしれない。
だからこそ、お前に二度と同じ轍を踏ませる訳にはいかないんだ。」
この男の言っていることは要するに俺がおかしな人間だから朝廷に殺されてしまう。
だからそれを防ぎたいってことか。
なんか、いつも頭の中で文句ばっか言ってごめん。良いやつだったんだな。
荷物を運んでもらった新居で車を降りて、扉を閉める直前に彼は小さく声をこぼした。
「お前は、俺の弟のようになるなよ。」
最後に彼は涙を一粒流しそのまま帰って行った。
そして、俺は二度と彼と会うことは無かった。
次の日、ゴミ捨て場で切り刻まれた教師の死体が見つかったらしい。
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