第53話

 ツインタワーは崩壊せんとしていた。

 世界と同時に破滅せんとしていた。

 金城はおもう。おかしいや。もうおしまいじゃないか。世界はこんなに簡単に『おわる』のか。完全武装の『組織』部隊員たちを背後にしてハンナばあさんは金城に物語った。いわく「あなたにもいま世界でなにがおこっているかわかるでしょう。世界はほろびようとしているんですよ。世界中のりすと者だけをのこしてね」と。百戦錬磨の『組織』部隊員たちに銃口をむけられながら金城ひろは両脚をけいれんさせてねんちゆうたるベレッタ92を両手からすべりおとしてせんじやくにくずおれた。そうさ。世界のおわりだ。ハンナばあさんはつづける。いわく「ヒロキ・カネシロさん。あなたにも希望はのこっています。あなたもここでりすときように改宗すれば神はあなたをたすけてくださるでしょう。さあ。あなたもいのるのです。『神よ永遠なれ』と」と。しんとうする両手両膝をゆかについてぼうたるあせをながしている金城は「No」とつぶやきとうをふった。『組織』部隊員のひとりが漆黒のグロッグ製の拳銃を発砲した。9mmパラベラム弾は金城の左脇のゆかに衝突して跳弾し背後の『システム』の団塊に衝突して『システム』の団塊を瓦解させた。

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