第42話

 金城は気付いた。

 たるツインタワー三十三階から窓外をはるかしていた金城は異常に気付いた。『やけに旅客機がとんでいるな』とおもった刹那だった。すい色のそうきゆうこうしようしていたダグラス社製やロッキード社製やエアバス社製の千状万態の旅客機がつぎつぎとマンハッタンの摩天楼のはちがいに『激突』していったのだ。『あの野郎』と金城はおもった。ある旅客機は低空飛行し高層ビルにつっこみある旅客機はぜん高度をさげながら摩天楼と衝突してゆききゆう窿りゆうで大爆発した。ある旅客機は虚空でせいぎよをうしない民間アパート群に墜落して爆発しある旅客機は自由の女神に激突せんとしながら失敗したらしくニューヨーク湾内に墜落した。金城ひろぼうぜんしつとしてきようかんのマンハッタンをみおろす。の同時多発テロにてんいになっている消防や警察がで救助活動に奮励努力している。ある消防隊員が火炎えんいつたるアパートからろうを救出せんとするとろうは隊員もろともTNT爆薬で自爆する。ある警察が年端もゆかない少女をきゆうじゆつせんとするとかんとした少女は胴体にまきつけたRDXで自爆する。スマートフォンに連絡があった。愛妻となった金城かなえからだ。かなえはいう。「あなた大丈夫なの。いま世界中で同時多発テロがおこっているって。日本でもそこらじゅうで爆発がおこってるの」と。金城ひろためいきをついていう。「おれは大丈夫だ。一鬼と一緒ににげるんだ。おれは死なない」と。かなえがいう。「どうしよう。神様にいのるしかないのかな」と。

 金城はげつこうしながらも優雅にこたえた。

「いのるな。かんがえろ」と。

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