第24話

 ようにして金城は『せき』をおこした。

 金城がかんとしながらめいもくし両手のひとさしゆびで指揮者のごとをすると金城のかいわいすい色の光明がせんしやくしふたりの童子らしき存在が現前した。金城はまぶたをひらいて説明する。「ちらはみなさんぞんの『しきわらし』であります。この子供たちがすみとする住居には幸運がもたらされるとされたわけです。つまりようなる幸運はこれらの『神性素粒子』が特別なるはたらきをもたらしてしやはんの家庭内のほかの素粒子に量子論的なる運動をうながしていたのだとおもわれます」と。つづけて金城がゆびさきをゆらめかせると三柱の『キツネ』があらわれた。金城いわく「ちらはキュウビのキツネです。説明ははぶかせていただき研究結果を御覧いただきたくぞんじます」と。つづいて黄金色のよくをもったちようがまいおどりれん色のふうぼうをしたてんたちがあばれまわってはくの無機質なる実験室内に妖精とおもわれるかみがみがまいおどるとともにひやつりようらんの植物がさきほこった。実験室内は七色にかがやきだす。金城いわく「みなさん。これが日本で信仰されている『よろずかみがみ』の正体です。つまり日本人はすいより森羅万象とふくそうされた『神性素粒子』の存在に気付いていたわけです」と。金城が指揮者のごとをやめるとよろずかみがみせいひつに消滅した。金城ひろは顳こめかみから端末をはずして『システム』にもどす。

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