第4話

  第一章


なんじのねがいはかなえられた』――。

 しんいんひようびようたるこえにニューヨーク市民は気付いた。

 二〇〇一年九月一一日一〇時一二分一二秒。ほうはいたる破滅の都市となっているニューヨーク市はマンハッタンのみならず疾風迅雷の勢力で生中継をはつじんしたTV各局の映像によって『全世界の人間が』みた。悲劇の爆心地となったツインタワーの上空にみなはみた。そこには『神』がいらっしゃった。きんこつりゆうりゆうの若者の肉体にほうじようなる銀髪と白銀のくちひげをたくわえせいぼくなる白布をまとわれた巨大なる唯一神『ヤハウェ』がきゆう窿りゆうゆうえいなさっていた。ヤハウェ神はおっしゃった。『なんじはまことの信仰をえたり。これによりなんじに朕のしもべたるラファエルをつかはさむ』と。神聖ぼうとくすべからざるヤハウェ神が右手のひとさしゆびをくだすとそこに一柱の巨大なる『天使』が降臨なされた。そうきゆう色の長髪に透徹したそうぼうをもちすい色のよろいかぶととまとわれた治癒の熾天使『ラファエル』に相違なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る