第12話

『天罰』がはじまった。

 教国はまたしても禁断の力をつかった。

 さんらんたるきゆう窿りゆうゆうしていた四大てん使によってふたたび七色にせんしやくする『十字架』が発生せしめられ十字架にたつけいにされるかたちで『受肉した使徒ヨハネ』があらわれた。泡宇宙内の神性エネルギーを量子力学によって波動から粒子に変換したのである。しゆもなく『受肉した使徒ヨハネ』の肉体はうち側より三百六十度にこうぼうを放ちはじめ幾筋ものこうぼうは虹色の球体となって巨大化していった。虹色の球体はせいひつとしていんしんたる新潟市をまきこんでゆき球体の表面から大小無数のらいていが地上に墜落してゆく。じゆんこうかいの新潟市内のれいみんたちはしゆつこつたる悲劇にこんとんとなっていた。あるものはぼうぜんしつとして虹色の球体を仰視しあるものはないに虹色の球体よりくりげはじめあるものは虹色の球体へとむかって正座し金剛般若経をどくしようしていた。虹色の球体は加速度をつけて巨大化してゆきほうはくたる新潟市内のもろもろを戦時中の貧窮によってるいじやくとなった建築物のすべてを襤褸ぼろ襤褸ぼろの建物にするれいみんのすべてをのみこまんとしてゆく。虹色の球体が新潟の大地を包みこみはじめると球体のなかの『物質』たちは素粒子レベルで量子力学的に波動関数がしゆうれんされおそらく爆撃天使たちの『演算どおり』なのだろうがすべて『ちやちや』になっていった。

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