第9話

べんだ」と。

 それぞれの人間にはそれぞれの神がいる。それはわかっているがおれにはおれの神がいらっしゃるのだ。交渉は決裂しスサノオノミコトは『∞』のかたちでふりまわしたくさなぎつるぎけんじんににぎりなおす。スサノオはつるぎでミカエルの心臓を一突きにせんとする。ミカエルは右手のやりで心臓をぼうぎよしスサノオのつるぎをうけとめる。ミカエルのやりとスサノオのつるぎはざらいていがかがやく。ようにしてミカエルの霊威はていげんし四柱の天使による『十字架』はふたたびエネルギーへと還元され消滅する。一旦は『天罰』をようそく阻止できたのだ。ミカエルは焦燥感うつぼつたらしめて左手の『てんびん』を中天にかかげる。刹那天空より『なんじは罪を犯したり』という『神』のこえがめき晴天のきゆう窿りゆうから黄金色の火炎がふりそそいだ。なる神をもせんめつするといわれる『神の炎』だ。『神の炎』はりゆうじん状にうねってスサノオノミコトに直撃した。スサノオノミコトの肉体は刹那にしてえんえんたる火炎にのみこまれひやくがいきゆうきように火やけどをした。スサノオノミコトはきゆう窿りゆうゆうしながらもんぜつびやくして燃えつづける。スサノオノミコトはたおれない。スサノオノミコトの首もとに装飾された『まがたま』がすい色にかくやくせんしやくしたかとおもうとスサノオの肉体にてんじようしていた火炎が渦巻いて消滅してゆき『まがたま』の内部にふくそうされていったのである。『神の炎』の力を封印したのだ。といえどもスサノオノミコトはまんしんそうだ。相手もではない。ようれつなる攻防戦のさなか三柱のアークエンジェルはスサノオノミコトをやつざきにせんとミコトをじようするかたちでそれぞれのつるぎを両手でにぎりしめた。三柱のアークエンジェルがおのおののつるぎのきっさきをスサノオノミコトの心臓にむけてばくしんせんとしたであった。傷付いたスサノオはそうぼうを閉じてれいげんあらたかなる『心眼』にて三柱の天使の位置を確認する。しゆつこつとしてそうぼうを開いたスサノオはみずからの右上・左側・下方よりまつしぐらに突きすすんでくる天使たちへと複雑系をなすせんじようくさなぎつるぎをふりまわしてようげきした。三柱の天使はれん色のぶきをあげながらの肉塊となって新潟市に墜落してゆく。これで相手は一柱だ。『天罰』には最低四柱の天使が必要である。勝った。『天罰』はようそく阻止された。金城大尉が油断しているであった。黄金色のよろいのミカエルの頭上にすい色のよろいまとったラファエル・真紅のよろいまとったウリエル・純白のローブをてんじようさせたガブリエルがしようしてきたのである。いわゆる『四大てん使』だ。四柱の天使がしようしゆされたらいつ『天罰』がくだされるかわからない。のみならず相手は唯一神にもひつちゆうするという天使長ルシファーをたおした猛者たちだ。スサノオノミコト厳密には操縦者である金城大尉は諦念した。傷付いたスサノオノミコトでは四大てん使に到底匹敵できない。ここでミコトがはいじくすれば相手はつつがく『天罰』をくだすであろう。ここは一旦撤退して新潟市のの百れいきゆうじゆつするのがただしいのではないか。金城大尉がしゆんじゆんしている最中に四大てん使は巨大なる十字架をつくりはじめた。はや時間がない。金城大尉は観念した。新潟市民の生命をまもるために超法規的措置として敵前逃亡するしかないと。スサノオノミコトは戦線を離脱せんとけつした。

 背後でミカエルがさけぶ。

「弱きもの日本の民よ。『天罰』を喰らうがよい」と。

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