　金城太尉は車（しや）輌（りよう）で搬送されてゆく。

　金城太尉は満（まん）身（しん）創（そう）痍（い）で穹（きゆう）窿（りゆう）を仰視する。

　蒼（そう）穹（きゆう）ではミカエル相手に麾（き）下（か）の操縦するキュウビのキツネたちが闘（とう）諍（じよう）している。爾（じ）時（じ）亜（あ）米（め）利（り）加（か）教国軍は一軍事工業地帯にたいして熾（し）天（てん）使（し）ミカエルのみならず大天使アークエンジェル数機を投入してきた。金城大尉は噬（ぜい）臍（せい）する。あきらかに新潟市へ『天罰』をくださんとする様子じゃないか。爆撃天使よりも機動性のたかい局地戦闘天使のアークエンジェルは森羅万象を反射する白銀の剱（つるぎ）をもってミカエルに喰らいついていた四柱のキュウビのキツネを狂（きよう）瀾（らん）怒（ど）濤（とう）の勢力できりさいていった。あるキツネは脇腹から桃色の大腸を露呈しあるキツネは搏（はく）動（どう）する心臓を一撃にされて穹（きゆう）窿（りゆう）から墜落していった。九五式小型乗用車から天空を見（み）霽（はる）かしていた金城大尉は部隊の全滅を認識して双（そう）眸（ぼう）をつむった。みんなありがとう。ここが『ふるさと』ではないやつもいたのに。否（いな）。部隊は全滅したわけではない。