第5話

 金城大尉は『絶対にミカエルをたおさなければならない』とけつした。

 護国神社に軍用しやりよう九五式小型乗用車はほうちやくした。いそがねば。金城は一の鳥居でいちゆうする。金城は軍曹に抱擁されながら参道をまいしんする。一礼して御神門をくぐった金城は神社のまえで二礼二拍手一礼する。金城は境内にて正座しこんぱく接続をはじめる。やじり状のこんぱく接続端末を左脇腹の機関に挿入し右脇腹へと移動させる。『ハラキリ』だ。こんぱく接続の『いたみ』ににんにくしている金城大尉の頭上に巨大なる『神』が姿すがたをあらわしたもう。ひやくがいきゆうきようてんじようされるほどのほうはつと御尊顔の八割をおおいつくすひげてんぴようになびかせ弥生時代風のけんらんごうなる刺いれずみまんこうちようせんされやはり弥生時代風のせいぼくなる白布の貫頭衣をまとわれくびもとにはしようしやなるすい色のまがたまのかざりをなされていらっしゃり右手にはおなじくすい色のくさなぎつるぎをおもちになられている。神聖ぼうとくすべからざるスサノオノミコトである。偉大なるスサノオノミコトはけつしたしや仏と同様に護国神社境内上空に胡あぐらをかき鋭利なるそうぼうを半眼にしたまま『ハラキリ』のふうぼうで正座している金城大尉をみおろす。ミコトののたまわく『なんじは朕がひやくがいきゆうきようをばゆだねるに値するや』と。金城大尉はこたえる。「わたくしめの命は値しませんが『日本』を鎮護せんとするあまねき日本人の命は値いたします」と。ミコトはきんおうけつくさなぎつるぎを金城大尉の咽頭仏にむけてのたまわく『よく申した。朕がをばなんじにゆだねむ』と。刹那金城大尉の肉体は『古事記』の巨億の文字列にひようへんし竜巻状となってスサノオノミコトの『はら』のなかにふくそうされていった。

 金城大尉は『みとめられ』た。

 金城大尉はスサノオとの『こんぱく接続』に成功した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る