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　爆撃天使ミカエルは断末魔で咆（ほう）哮（こう）する。

『天罰』予定日の新潟県新潟市上空にてである。

　一九四五年八月十二日。幾（いく）許（ばく）かの爆撃天使による攻撃で破壊された新潟市内の肩（けん）摩（ま）轂（こく）撃（げき）の四（し）衢（く）八（はち）街（がい）では無（む）辜（こ）の国民たちが磅（ほう）礴（はく）たる空中における宿敵亜（あ）米（め）利（り）加（か）教国の熾天使ミカエルと大日本神國のキュウビのキツネ部隊との死闘を仰視していた。『撃墜王』たる金城大尉は巨大なるキュウビのキツネを操縦し爆撃天使ミカエルに喰らいついている。この神國の国民たちのためにも宿敵ミカエルにとどめをささねばならない。あのトヨヒコ・カガワに復（ふく）讐（しゆう）せねばならない。白銀の毛並みに九つの尻尾をもつ五柱のキュウビのキツネ部隊は捷（しよう）勁（けい）なる膂（りよ）力（りよく）によって天（てん）壌（じよう）無（む）窮（きゆう）の蒼（そう）穹（きゆう）を翺（こう）翔（しよう）し爆撃天使ミカエルの右肩・左腕上部・右腕下部・右脇腹・左脚に喰らいついていたのだ。部隊長たる金城大尉および麾（き）下（か）の神軍兵士は鬱（うつ）蒼（そう）たる叢（むら）草（くさ）や溌（はつ）溂（らつ）たる禽（きん）獣（じゆう）にやどりたまう八（や）百（お）万（よろず）の神（かみ）神（がみ）を『魂（こん）魄（ぱく）接続』によって操縦し爆撃天使ミカエルと闘（とう）諍（じよう）していた。が御（み）稜（い）威（つ）を誇示するミカエルの霊威のもとで一柱一柱と斃（へい）仆（ふ）してゆき現在六名でミカエルと対（たい）峙（じ）している。琥（こ）珀（はく）色（いろ）に明滅する癖毛のミカエルは八（はち）面（めん）玲（れい）瓏（ろう）たる黄金の鎧（よろい）で筋骨隆（りゆう）隆（りゆう）たる肉体を防（ぼう）禦（ぎよ）し六枚の翡（ひ）翠（すい）色のつばさをもって飛（ひ）翔（しよう）して左手に白銀の天（てん）秤（びん）を右手に白銀の槍（やり）を掌握し大日本神國軍と激闘している。左手の白銀の天（てん）秤（びん）を優雅に中天にかざすと天（てん）秤（びん）が『生きとし生けるもの』の善悪を峻（しゆん）別（べつ）し神が『悪』と見（み）做（な）したものどもを焼（しよう）燬（き）してゆく。御（み）稜（い）威（つ）を誇示する天（てん）秤（びん）でも誅（ちゆう）戮（りく）できないものたちは右手の白銀の槍（やり）で羅（ら）利（り）粉（こつ）灰（ぱい）にしてゆく。