第41話 Witches never wake up again.
家族の命の危機を感じて、
○鹿鳴チーム
月花
六花ママ
お爺ちゃん
お婆ちゃん
○駒鳥鵙チーム
式部
小町ママ
お爺ちゃん
お婆ちゃん
現在ここまで決まっていて、うちの家は結界付きだが、鹿鳴・駒鳥鵙の実家は何も結界がない。
だから駒鳥鵙家にパパを持ってきてバランスを取ろうという小町ちゃんの発言があり、そこにママが異議申し立てをし、そこからはドラフト会議風に名前の書いた札を引いた方が獲得するというプロ野球みたいな騒動になってきた。
結局、夏月大社の元巫女さんなのにクジ運でママが負け、パパが駒鳥鵙家へ送られる事となった。
普段あまりいないから物扱いが凄いパパ!
あとはバランスを取ってうちにコロちゃん、小花ちゃんが来る事になる。
パパがスキルで駒鳥鵙家に結界を張って、全員にパパしか見えないスタンプをスキルで付けてなりすまし対策もする。
ウチが多少手狭になるが、仕方ない。
そういえば皆に聞かれるのだが、うちのパパは女性だ。
細かい部分は話してくれないが結果オーライ!
今回の厳戒態勢に当たって、パパが《社》のトーナメントの時に潜んでいた魔女の情報が無いか調べてくれた。
表層的な部分はなりすましだったので当てに出来ないが、右手で髪を耳に掛ける癖と、指の関節を鳴らす癖、この二つは習慣や習性の類なので捜索の目印としては信用してもいいと思う。
後は奴の変装スキルと、死んだ時に一番近くの人間にスキル毎乗り移る強奪に近い転生スキル、これをどうにかしないと奴は人を殺す事を
最悪、倒しても私や式部が乗っ取られる。
「パパおかえりにゃ!♪」
「あなた、お帰りなさい!えっ今から二人目!?三人目も!?やだーパパったらー♡♪」
突然家がパパウェルカムモードになり戸惑うパパ!
「お義父さん、お米10キロと、新しく出来たスパイスの店でいいスパイスがあったのでいくつか持ってきたのでどうぞ」
「おー、悪いな婿殿、最近修行の成果が出てきたのか目も効く様になってきたし、私も教える事ないわ」
「いえいえ、まだまだお義父さんの味の領域に到達出来ないです」
顔を合わせると物凄くシェフと弟子の会話になるパパとお爺ちゃん♪
「どうした式部?」
「あ、いや普段見慣れない光景だから、顔がにやけちゃって…♪」
「向こうでも俺はレアキャラ扱いされてるし…もう地元で愛されるような小さな喫茶店のマスターやって余生を過ごそうかな…」
「やさぐれちゃ駄目!きっと世界にはパパの助けを待ってる人がいるにゃ!」
「そう!具体的には小町様とか!♪」
「そこは具体的にならなくて宜しい!」
うちは意外と皆アニメ好きだから、お爺ちゃんお婆ちゃんも含めて、ご飯食べてからアニメを見て
寧ろお爺ちゃんとお婆ちゃんはエルフが珍しいらしく、可愛がってる内にすぐにルクレツィアと打ち解けた。
まぁ、この中で誰よりも年上なのだが。
そう言えば小花ちゃんがアニメを見てるの意外だなぁ…
「小花ちゃん、アニメ見るんだね?」
私のロングヘアを色々と弄りながら小花ちゃんが口を開く。
「自分とは違う誰かの人生を追体験出来るという事は、違う価値観に気付ける。そこは映画もアニメも同じよ?」
「なる程、確かにそうだ!」
「視点が違えば見えてくることもある…例えば、月花がゾンビになったとして、身体の不快感と脳の機能不全に陥りながらも如何に効率良く人を襲えるかを必死で考える…他のゾンビを盾にしながら反撃手段を考えるのも一興よ」
「流石、ゾンビ例えの第一人者小花ちゃん!」
因みに今見てるアニメは、ほのぼの学校ものだけど一話後半で突然ゾンビが出てくるあのやべーアニメです。
次の日、式部と秘密基地に来て合言葉で確認を取りつつ作戦を練る。
「月花もそう思うかにゃ?」
「うん、魔女は一回目のトーナメントからアナザーバースに出現していない。《社》の転送装置があるから最初はダイヴ出来たが、それ以降は転送装置の宛が無いから、リアルワールドで襲ってくる、そう考える方が自然だ」
どこの企業もそれなりのセキュリティを掛けているから、変装して潜り込んでもおいそれと使用は出来ない。
「ターゲットは私達だから、探さなくても来るとはいえ…犠牲者を出すのは嫌だしにゃ…そもそも、何で恨まれてるのか…」
「倒した悪党への逆恨みなら、心当たりが幾らでもあるから、想像が追いつかないんだよにゃ…」
「そこさえ分かれば解決策が見えるのに」
「何人か人間を乗り換えてるだろうから、外見の情報も当てに出来ないし…」
「矢張り変装を見破る系スキルかな?」
「スキルショップ見に行こうにゃ!」
駅前のビルぶち抜きで入っているスキルショップをまた訪れる。
「変装を見破るスキルより、嘘を見破るスキルは?」
「人間不信になりそうだけど、効果はありそうだにゃ!」
色々と多角的な視点でスキルを物色する。
何せ改竄スキル持ちなのでセオリーが通じないのだ。
反射スキルもいいし、どうしようか見ていると式部が詠唱破棄スキルを見つけた!
「いけるんじゃない?クールダウンまで時間が開くけど、不意打ちに使えるにゃ!」
「うん、これは一応抑えておこう!切り札になるかもしれない!」
こうやって減っていく私の貯金……
式部と交代でトイレを済ませ、スキルを購入し、温かい若草山の頂上まで来た。
平日だから流石に人が少ない。
「温かいねー!」
「うんうん!何でここに来たのかにゃ?」
「まず、は…式部は無事なんだろうな?」
「何言ってるにゃ!?合言葉もさっき返したにゃ!」
「私達の合言葉は三分以上相手と離れたら、合言葉は適当でいいから瞬きを三回する事だったんだ。それに中身の癖。耳に髪を掛ける仕草をしたな?式部はそんな癖は無い!式部はどうした?」
「こんなに早く気づかれるとはね…一応ここにいる」
巨大な水晶の中で式部が眠っている。
魔女はいつものローブにフードで顏を隠している姿に戻った。
「なぁ、聞かせてくれ…私達は何故怨みを買った?」
「
妙な言い回しだ…私達の血統が原因?
「あの人…血統…もしやパパかママへの怨みを子で晴らす陰湿なタイプだったか?」
「その方が泣きわめくだろぉ?罰様の寵愛を捨てるなぞ不名誉極まりない!」
「…罰?
「罰様のお名前を口にする、栄誉…今日だけは許してやろう。何故お前が知ってる?」
「先日会ったからだよ。ボコボコにして灰にしたけど、ワンチャン生きてるかもだし警戒はしてる」
「な……あの方が生きておられる……今日まで…生きてきて光栄の極み…」
「生の喜びを感じる前に、お前が殺して来た死者の嘆きを感じろ!」
「黙れ!あの人が生きてきておられるのなら、もうお前達に執着する意味はない!ここで終わりにしてやる!」
右手で耳に髪を掛けながら殺伐とした台詞を吐く魔女!
だから死んでるかもって。
「コロちゃん!!」
式部と一緒に閉じ込められてたコロちゃんが内側から水晶を破壊する!
うちのお姉ちゃん舐めんな!!!
状況を理解し、戦闘態勢に入る式部とライトニングスタイルコロちゃん!
こちらも初めから封印解除し、真っ赤な闘気と光を目に宿す。
「停止する鼓動!」
『
二人へ放たれたスキルを消去!
「天上よりの災厄!」
巨大な炎が落ちてくる!
が、式部がスキルガンで
改造スキルか!
「
放射冷却で火を殺す!
スキルと言えど場法ではない!化学反応なら、化学反応をぶつけてやればよい!
その瞬間また私の背後に周り背中を刺そうとする!
だが、式部がスキルガンを構えていた!
「
スキルの硬直を狙ってきた様だが、そうそう同じ手は食わない!
放たれた針が魔女に刺さり物理ダメージを与え、そこにコロちゃんの雷が落雷する!
「ぎゃあああああ!くそ!双子座の一撃!」
両手を我達に差し出し、矢を大量放射する!
我が障壁を張る事を予想していたのか、高強度の矢だったが、我達の武器の前には無力だ。
徐に一本掴んで魔女の足に投げ返してやると、悲鳴を上げて倒れた。
「
詠唱なしでスキルを放つ為相手に手を差し出す!
その時!
「反射!」
魔女がスキルショップでのやり取りをやはり見ていたのか、
「どうなんだ?自分で自分の技を喰らった気分は?壊れる姿は人もスキルも美しいだろう?」
「ふふっ…何かおかしいとは思わぬか?我はスキル全損なぞしておらぬぞ?」
「…何をした!?」
「いや、お前に回復を掛けてやろうとしただけだ。お前が反射してくれたお陰で我は元気一杯だ。そして、お前の反射に合わせて式部が
会話が聞かれていることを計算に入れて正解だ。
「なる程…だがな!バックアップと、いくつかの強力なスキルは全破壊や奪われない様に改造してある!お前達が私に勝つ事などありはせぬ!例え何千人殺しても、私は…罰様の元に!絶対に辿り着く!!!」
「残念だが、お前は何処にも辿り着けない。誰も知らない、誰もいない次元の中に生きたまま送られたら…お前はどうなるのかな?誰にも憑依出来ず最後を迎えるのか?」
「や…やめろ………」
「もう遅い、スキルを出しても全て式部が消してる!この一撃で終わりだ!」
「いやぁぁじにたぐなぃばつざまあああ!」
「
土手っ腹に一撃入れてやると、別次元への片道切符が開き魔女が泣きながら吸い込まれていく。
「手に掛けた民の数だけ永遠に泣き叫べ」
「岡崎君、皆、
刀も再封印し座り込む。
『おわったーーー!』
少しごろ寝する!
「何の事はない、超逆恨みだったじゃないか!式部も巻き込むのが許せない!」
『魔女は血統の事も知ってたのかもだにゃー…』
「ににににん!」
「コロちゃんも式部を助けてくれて有難うねー!」
「もうコロちゃんの不敗神話は
「ににん!」
「こういう事言っちゃうのはあれだけど、芝辻は生きてて欲しくないなぁ…」
「顔色一つ変えずに千人単位で殺す奴には言っちゃってもいいにゃ!」
「あー、またおときちゃんにお土産持って行かないとだね!」
「そろそろ社務所が直ってないと九尾さんに顔を合わせ辛いにゃ!」
「ほんそれ!」
「なんか、いやにあっさり勝負が着くと不安になるの私だけ?」
「陰湿だったからにゃ…私も不安が胸を
「あれだけ周到な魔女が自死スキルとバックアップスキルをセットにしてないのもなー…とか思ったり」
「怖い怖い!想像したらキリがないにゃ!」
と、話をしていた時…
視線を逸らした奴が居た!
「式部!あいつだ!」
式部がリモートで魔槍を投げて、すばやく地面に縫い止める!
「いやー、
「鹿が自決スキルとかあり得ないにゃ!」
「
単一対象のスキルを斬ってしまうレアスキル!スキル全破壊やスキル移動等を警戒してる敵に、破壊や奪うではなく「斬る」は正に切り札なのだ!
こうしてバックアップスキルと攻撃魔法だけを斬り、自決スキルだけを残して回復してやった。
「お前はもう鹿として余生を終えろ。目印も付けたから、何かやらかしたのならすぐ分かるからな?」
嘘だけど!
魔女鹿はおずおずと去っていった。
「懲らしめなくて良かったのかにゃ?」
「ふふふ、もう芝辻と会う機会なんかゼロだし、有象無象の鹿の群れの子供を育むがよい!」
「やだーこの人怖いにゃー♪」
帰って、魔女をお仕置きした話をし、また芝辻の名前が出たのでパパとママに嫌な顔をされたけど、同時にパパとママの恨みが逆恨みという形でこちらに飛んでいたのでパパとママに私と式部がハグハグされた。
あの魔女はもう起きてこない。
スキルを使う事も無く、奈良の神獣として最後の余生を過ごすのだろう。
亡くなった大勢の人達の
「ところで月花?」
日向ぼっこを継続しながら式部が聞いてくる。
「なになにー?」
「これ、依頼じゃないから私達大幅マイナスだにゃ!」
「全て実費じゃ――――――ん!!!」
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