第39話 Consecutive Quest
ルクレツィアの服選びと武器強化をゆっくりしてもらう為に、通りに面したテラスカフェで式部とお茶をしているなう。
コロちゃんはミルクと、私が指で持っているクッキーを食べている。
「ルクレツィアは色々やらかしてくれて面白いにゃ♪」
「歩くびっくり箱みたいだもんねー」
「弦で相手の首を斬るって惨殺は初めて見たけど、逆を言えば咄嗟の機転が利くといことだからそこは評価してもいいと思うのにゃ♪」
「うん、私達がサポートしないで初戦終えたのは、基本性能が高いからだと思うわ」
「問題は褒め過ぎると伸びないってことにゃ…」
「それな!」
「あ、ルクレツィアが戻ってきた!」
服装は…変わってなくて…弓の弦はなんかキラキラ光ってるから変えたな!
「服は変えなかったの?まだスカートのままだよ?」
「ああ、服を見てたら
「スカートは?」
「ほら、アニメでパンツ見えそうになったらぼかし入ったりするじゃない?そんな仕様にしてもらった!」
「
「その人が居ればオシャレコーデも夢じゃないにゃ…ゴクリ」
「
「はっや!」
「式部、次からいつ出会っても良い様にオシャレスカート持ち歩こうぜ…」
「うむ、これは次の出会いに期待にゃ…」
「処で弓の弦もキラキラしてるけど変えたの?」
「ううん、オリハルコンの粉末を接着薬を塗った
「それ、
「鉄の棒で試したら弦一往復で斬れたわ!」
「とんでもない凶器作ったねー」
「これでもう弓で切断し放題!!!」
「矢を撃ちなさいっ」
そんな会話をしてた時、一陣の風が吹き荒れて軒先の植物やテーブルが風に
「何この風!?」
「凄い突風だにゃ!」
「スカート抑えなくても平気!」
「うん、そうじゃない!
直前に影が通った気がしたんだが…
眩しいが目視出来た!
太陽の方向から何かが降りてくる!!
凄まじい速度で下降してきたそれは、店の軒先に止められていた馬を鷲掴みにして、先程帰ってきた南のゴブリンの拠点の方へ飛び去って行った!
あれは放置しておくと被害が広がる!!
「デッドエンド、ルクレツィア!追うよ!!」
二人に飛行結晶を付けて飛び去った方向に向かって追う!
「レクス、あれは!?」
「ハーピーだな…標準的なハーピーの三倍は大きい!」
上半身が女性で、手足が鳥の怪物だがデカすぎる!
「何であんなに大きいのにブラ付けないんだ!?」
「きっと合うサイズがないのにゃ」
「あと、胸の話をしたら月花の顔が怖いんだけど!!!」
「寿命を全うしたかったら、そのワードは禁句にゃ…」
ゴブリンの巣穴の背後に広がる岩場を探すと、あの巨体だけにすぐ目視出来た!
広場で馬を
飛んできたのに気付いたのか食事を止め、こちらに素早く振り返った!
「食事の邪魔だ、今日は機嫌が良いし見逃してやるから消えろ」
「あんたを放置しておくと被害が広がるのよ!街の人は私達が守る!」
「私は人は襲わない」
「信じられるか!」
「牛・豚・鳥…最高」
『分かるわー』
いやいや、同意してどうする!
「でも…人間の固さや味も覚えたら、食べる物に困らないかもねぇ…」
「させるか!」
ルクレツィアが勇猛果敢に弓を射る!
一発羽根に貫通するも、
巨体なのに素早い!
そして、さっきと同じく太陽を背に急降下してくる!
三方向に分かれて散るが、そのまま滑空しルクレツィアを襲う!
「ルクレツィア!大丈夫!?」
予め渡しておいたイヤホンで呼びかける!
『大丈夫!パンツは見えてない!』
「そっちじゃねぇぇぇぇ!」
『見えても暗闇にゃ♪』
「
式部の魔槍がジャイアントハーピーに迫るが、引きつけてギリギリで躱すので多少脚を掠めていくも大ダメージには至らない!
こいつ、飛行生物だからか直線的な攻撃の
上から大量の羽根を手裏剣の様に飛ばして来た!
痛いけど素早く身体から羽根を抜きスキルを唱える!
「
強振動を波動にして伝える!
相当きつい筈なのに翼を前にし、受け止めている!
それ、羽撃いてないのにどうやって対空してるんだ!!
式部がスキルガンを撃つと、上から水が降ってくる!
「
水で濡れた体表を雷が伝導し、爆発を起こす!
この技、初めて決まった!
気持ちいいー!!
翼でガードしてるし、焦げてるけどまだ対空している!
だが、背中側からルクレツィアの矢がダメージを積み重ねている!
ジャイアントハーピーはそれを
式部がその間にもスキルガンを連発している!
詠唱が無いから何を唱えているか分らないが、当たった時に何か反応している!
「おのれ、人間共…舐めるなよ!」
急上昇し、山の向こうから滑空してくる!
「全員
翼に触れた岩山の小槍を鋭利に切断しながら飛んでくる!
「
飛び道具二連発出してみたら、流星触は躱されたが、その後ろに控えてた手裏剣数発は肩にヒットした!
当たりやすくなった?
いや、式部がスキルガンで撃っているのはきっ
多重がけで動きが遅くなっている!
岩山を切り倒しフラットに近くなった岩場へ移動したので、私達も場所を移動する!
式部は
「おのれぇぇゴミ共―――!!!」
羽根攻撃を密度を上げて射出するが、障壁を作り出し全て払う。
返しで式部が魔槍を投げ、脇腹を貫通した!!
重みと魔槍の傷で姿勢を低くしつつも攻撃姿勢を止めないハーピー!
「
眼が赤く光り、闘気を纏う!
羽根を再び我に射出する。
「
超高速の面の突きで全て叩き落とす。
「鳥
左足を斬り落とす。
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁ!!!」
「食べた事があるのだろう?さっき人間の固さや味を…と、そう言ったな?人間が固いと何故分かる?」
右足を斬り落とし、前のめりに巨体が倒れる。
「はい……食べた事あります…赦して下さい…」
舌に刀を刺そうとすると口から衝撃波を放射する!
私の闘気が全て弾いているが。
「我の国ではな、嘘をつくと地獄の王に舌を抜かれるんだ」
抜くのが手間だったので根本あたりなら斬り落とす。
「えうぁぁぁあああああぁ!!」
「式部…月花ってば人格が変わってない?」
「うん、あれが抑えようとして苦労している残忍なモードの月花にゃ。特に命を奪う生き物には人であろうと魔物であろうと容赦しない」
「あれが出たら近寄らない様にしよう…」
「私はやり過ぎたら止めるという脇役の役割があるからにゃー」
「何で脇役?」
「彼女は王だからにゃ♪」
「王……」
「どうだ?まだ先程の様な闘志を見せて我々を
右手の翼の鉤爪をレクスに振り下ろすが、ノールックで斬り落とす。
挑発する様にハーピーの視界に入り、刀を向ける!
「良い闘志であった。百億回生まれ変わっても、我の顔を忘れるな。我を畏れよ!」
ハーピーがガタガタ震えだすがもう遅い。
「
勢い良く刀を切り上げると、高密度の横向きの竜巻が発生し、相手の頭から胴体まで螺旋状に七回斬り刻む!
終わった後には肉塊しか残っていなかった。
ギルドに渡すハーピーの指を切り取り、飛び立つ。
「鳥の餌位にはなるだろう」
その時突然、耳を
ズズンッ!と地響きを点てて降りてきたのは
身体がライオン、頭と翼が鷲の巨大な怪物!
「…サンダルフォンだっけ?」
「ルクレツィアのボケが
「ハーピーが馬を食べてたから匂いを感じ取ってたのかにゃ?」
「ハーピーを
腹の部分を
式部は
回し蹴りを決めた後、素早く後方に戻りつつ魔槍を投げ、翼に貫通させる!
ルクレツィアの矢もしっかり刺さっている!
次はルクレツィアが狙われて、突進してくるグリフォンの
前足でダメージを受けて、そのまま足で踏まれるルクレツィア!
式部が直ぐ様、魔槍の突き連打でダメージを蓄積しにいく!
「
黒い狼・フレキとゲリがグリフォンを襲撃する!顔を狙われた
式部が素早くルクレツィアを助け出し、離れた場所で回復に入る。
ターゲットを我に変えたグリフォンが猛烈な突進を繰り出すが…
「
刀の背を相手に向け、
「いい力だな…食事中に邪魔して悪かったな」
ギリギリと興奮したまま押してくるグリフォン。
「
力がかなり抜けたがもう一息。
「そうか、身体はネコ科だったな。
「よーし、良い子だ。お前は人は襲わず馬を餌にしたり種付したりするんだったな。頼むから街は襲わないでくれよ?」
クルルルル!と返事をしたので、刺さってる弓を抜いて回復を掛けてやると、頭を我に
回復が終わったのか式部とルクレツィアが戻ってきた。
「逃したの!?」
「ああ、気が立ってただけだ。少し威圧したら大人しくなったから帰したよ。ルクレツィアも命を奪うだけが戦いではないと知れ」
「分かった…親父にも踏まれた事無かったのに…」
「その経験はエルフじゃなくても大体皆ないにゃ!」
片付いた様なので、冒険者ギルドへ向った。
冒険者ギルドでハーピーの指を渡し緊急事案の報奨金を貰い、三等分した。
「さっき思ったけど、ルクレツィアの二つ名いるかな?」
「合った方が安全だからってつけたけど、ルクレツィアの里は普通行けないからねー。家族が狙われたりは無いとは思うけど…」
「二つ名って何?」
「異名というか…ほらルクレツィアが好きな赤い彗星、みたいなの」
「おおおー!ちょっと欲しいかも!」
「急がないから考えておいて!」
「黒い三連星とか?」
「巻き込み事故感!!!」
「赤髪の彗星」
「そこまで統一感重視で混ぜなくても…」
「もうオレンジでいいじゃん」
「何かの嫌疑を懸けられてるみたいでいやぁぁぁぁぁっっ!!!」
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